第五章 女神聖国永遠なれ

第90話 頼もしい仲間が増えました

 大切な仲間、ペスを呼びます。

 ペスは警戒しながら、ゆっくり私に近付き、身体を擦り付けて来ます。

「その狼ペスって言うの?可愛いね!

 私が子供の頃、ラジオで『ペスよ尾をふれ』ってドラマが有ったの!大好きで毎回欠かさず聞いてたわ!松島とも子さんが、ヒロインのゆりちゃん役で···」

 懐かしそうに話すサイさんは、70歳には全く見えなくて、10代と言われても納得出来る若い顔でした。


 王国の生き残り、サンセットとチロルは余程飢えて居たのか、芋と肉をガツガツ食べてる。

 私は、華子から事情説明を受けてます。

「もう食べないの?遠慮しなくて良いのよ」

「食べ物無くて、食べないで居ると、胃が小さくなったみたい、少しでお腹一杯になってしまうの」

「そう······大変だったのね···」




 山田華子さん25歳、私が豪君と進君に荷物を持って貰おうとした、召喚の時後ろに居たそう。

 僅なお茶と食料で、過酷なサバイバル、魔物と闘って来た事、驚異的な話が、華子さんからポンポン飛び出して来ます。


「って事は、召喚のトバッチリで、こんな危険な所に一人で飛ばされてたのね!神様からスキルも何も貰わず、自力で生き延びた!凄いね!!」


「聞いてます?ユーフラット神様!!」

 辺りが揺らめき、美少年が現れます。

『山田華子さん、イグリス神のボケ神が、ご迷惑お掛けしました!!』

「えっ?な、何?」

『サイ様と同じ性能の無限収納、召喚の時の持ち物を再生し、収納庫に入れて居ります、お召し物も全て1セット収納されて居ります、レベルを相当上げられておられますが、身体強化と魔法全て使える様にさせて頂きました。

 ゆっくり考えられて、何か欲しい能力が御座いましたら、後程いつでも追加致します!!

 大変なご迷惑おかけしました!心からお詫び申し上げます』


 居心地悪そうで、そそくさと、ユーフラット神様は帰ってしまいました。


「······サイさんって、本当に女神様だったのね···神様が凄く低姿勢?」


「本当の事言うと、女神と名乗った方が、この世界では何事もやり易いから女神で通してるだけで、今の華子さんの方が遥かに女神としての能力上だと思うよ」


「それは···ないない!」

「何のスキルも能力も無く、過酷なサバイバルを1年続け、スキル無いのに狼テイムして、厄介な現地人を率いて無事私と合流した!凄い事よ!!」

「···1年?」

「そうよ!同時召喚なら、1年経ってる」

⦅1年も経ってたの?⦆


 それから華子さんに、収納内の閲覧とコピーのやり方、魔法の発動の仕方など説明、私以上に不器用で、なかなか覚えてくれませんでした。


 収納内の、回転式リボルバー拳銃を見付け、ビックリして聞きます。

「華子さんって、もしかして、の付く職業の方?」

「えっ??···違う!刑事よ!」

「刑事さんか、それで生き延びて来られたのか、納得」


 頼もしい仲間が増えて良かった。

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