第89話 あれ?その顔は!!
夜になると、冷え込みが酷くなって来ます。
洗ったブラとパンツが、まだ湿って居る様で、寒さが身に染みます。
焚き火の火を大きく暖かくする為、木をドンドン放り込みます。
焚き火の前に、ウサ皮パッチワークの絨毯を敷き、ペスに包まれ間にチロルを入れ、背中をサンセットが
寒さ対策は完璧!!
夜の寒さは、こんな感じで対処してます。
2週間程で、100キロは有ったはずの、オーク肉殆ど残って居ません。
チロルちゃんは、10歳にしては大食いですが、サンセットが信じられない超大食いで、100キロの肉殆ど一人で食い尽くした感じです。
私は、乏しい食べ物で生きて来た為、チロルの半分も食べれられない位、胃が小さく成ってる。
「鍋が欲しい!!」
白湯でも良い、暖かい飲み物が飲みたい!
身体の中から暖まる飲み物!欲しい!!
寝ぼけ半分で考えて居ます。
私が起きたのを、気付いたペスが立ち上がり、森に入って行きました。
「焚き火がまた消えてる」
私しか、枯れ木の補充やって無いの?
「···良かった!火種は残ってる」
枯れ葉を被せ、息を吹き込み焚き火を復活させました。
炎が上がったので、枯れ木を放り込み、焚き火を大きくします。
ライターのガスが、殆ど無くなって、火を消さないよう気を付ける、二人にも言ってるのに、夜はグッスリ寝こけてくれて、役立たず!
ここ数日、サンセットの無能さに苛立つ事度々で、遠慮無用で命令してます。
言った事はやるのですが、自分で考えて行動する事が出来ない。
王様だった時は、周りの人がお世話してたのでしょう、自発的に動こうとしない、チロルちゃんと二人で、良く生き残れたと不思議に思う華でした。
随分時間が経った、ペスはまだ帰って来ない、心配になってペスを呼びます。
「ペスぅ~、帰っておいで!!」
暫く経ってペスが、尻尾を垂れて帰って来ました。
「ご苦労様!獲物が居なかったのね、気にしないで!ペスの安全が第一よ!!無理しなくて大丈夫、干し肉食べる?」
「ウォフ♪」
ペスは他に食べる物が無ければ、オーク肉も食べますが、ウサギ肉の方が好きみたい。
喜んで食べてる。
最後のオーク肉を焼きます。
いくら寒くても、これ以上は腐ってしまう、既に少し匂う位です。
腐る寸前が旨いとは言え、腐ってしまうと涙をのんで、捨てないと!食中毒は今の状態では命取りです。
最後の晩餐······ぷるるっ!縁起悪ぅ!!
小川は未練が有りますが、獲物を求め南に向かいます。
何日歩いたでしょう、化け物も野生動物にも全く出合う事が無くなりました。
既に3日は樹液を飲んで、飢えをしのいで居ます。
私とチロルは、樹液で大丈夫ですが、ペスが可哀想こっそり最後の干し肉を食べさせます。
サンセット?あのプヨった脂肪で大丈夫、頬は
私とチロルは難しいかも。
一月、南に向け歩いて居ますが、凍傷でしょうチロルも私も、両足の指が黒く壊死を起こしてる、歩きが儘ならなくなって来ました。
3人とも無言で、足を引きずって、歩いて居るのか足踏みして居るのか、分からない状態、ペスが心配そうに見上げてきます。
もう限界かも、運が良い人生だったとは言えないけど、完全に運に見放された······
少し開けた場所に拠点を置き、5日程休む事にします。
休んでしまうと、再び動く事は難しいと思いながら、仕方なく休んで居ます。
意識は朦朧として居ます。
幻臭でしょう、旨そうな匂いがしてる。
3人騙されても良い!!って気持ちで、這うように匂いに向かいました。
大勢の人?が、バーベキューしてる?
女性が語り掛けて来て、私達は不思議な光に包まれ、安らぎに意識が飛びます。
「「「女神様!」」」私達は自然に土下座してる。
サンセットと女神様が話てる。
「いや、生き延びられたのは、ハナコのお陰だ!」
「ハナ子?」女神様が私を見ました。
「貴女!もしかして、日本人?」
「えっ?」女神様の顔を見詰めました。
「あれ?その顔···寿命 最さん?」
少しの運と、必死の努力で生き抜いた、孤独で過酷な華子の旅が終わりました。
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