第87話 私チャレンジャーじゃ無い
「ペス!大丈夫?怪我してない?」「ブォン」
頭から尻尾の先まで確認します。
ワシワシ触る私に、ペスは尾をフリながら、大丈夫と言うように。
「ウォフン」と吠えて、ペロペロ返し。
「あ、あのぅ、ありがとうございました!お姉ぇさん強いのね」
「チロルちゃんだったよね、私は華子ハナって呼んで」
「はい、ハナさん」
横では豚頭を解体しようと、サンセットがアクセクしてる。
「うわぁ···不器用!私が解体するわ!そのナイフ貸して!」
「ん?あぁ助かる!私はやった事が無いので」
「ん?このナイフ全然切れないよ?研いだ事有ります?」
「研ぐ?とは何だ?」「ダメじゃん、返す」
いつもの、かち割り石ナイフで首を切り、石斧で首を落とします。
「さてどうするか、いつもの様に吊るして、腕胸腹の順に解体するか」
脚を縛り、ロープを木の枝に投げ、ロープを掴み。
「ロープを引っ張って」
3人でロープを引っ張り、豚頭を吊るす事が出来ました。
「豚頭の牙要ります?」
「ああっ!鋭い良い武器になる···豚頭?確かにそうだが、オークだぞ」
「オーク?」
現地人の呼び名か、オークね!覚えて置こう。
オークの、両頬肉を切り取り、牙を剥き出しにし、前後ろとガンガン叩き4本へし折りました。
この作業で、今回も上手い具合に血抜きが出来ています。
偶然ですが、今回も旨い肉にありつけそうです。
「嬢ちゃん、じゃ無かったハナちゃん?それって石か?物凄い切れ味だな!」
······石器って、こんなに便利な物だったの?
何度も石をかち割って、工夫する内武器工作レベルが上がって居た為で、角槍がオークの腹に深く突き刺さった、あり得ない威力も、ハナの武器工作の成果ですが、全く気付いていません。
巨大なオーク、解体に少し飽きて来ます。
焚き火して、少し休憩樹液を飲みます。
チロルがじっと見詰めてる?
「飲む?」「良いの?」「遠慮する様な物じゃ無い、飲め!」
受け取ったチロルは一口飲んで。
「えっ?これ···何?美味しい!!」
「何って、ありふれた樹液だよ」「じゅえき?」
「まさか!知らないの?」「うん」「ハナちゃん?私も初めて聞く」
「······え~と、この葉っぱの木、見てて!」
手錠で、いつもの様に引っ掻いて、樹液を出します。
「これよ、飲んで」
旨いのを知ってるチロルが、口を付けてゴクゴク飲んでる。
「うそ!こんな飲み物が出てくるなんて、知らなかった!」
一口サイズの頬肉も、上手く焼けています。
チロルとサンセットは、串焼肉をかじりながら、銘々傷付けた木から樹液を飲み、肉をかじっては樹液を飲んでます。
「ハナちゃんは凄いな!木の汁を飲もうとするなど、チャレンジャーだな!!」
解体を再開した私に、サンセットの呆れ半分称賛半分の呟きが聞こえて来ました。
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