第86話 現地人との遭遇

 ペスと一緒の旅は安全で、随分楽な旅になりました。

「ここにも有る!!」

 心配していた、樹液の木、まばらにしか生えて居なかったのが、群生しています。

 相変わらず、川も池も見付けられず、辺りは随分寒くなってきました。


 良い拠点を見付けると、5日程滞在辺りを調査後先に進む、そんな繰り返しの旅を続けています。

 夜は焚き火を焚き、ペスの猟果を焼いて食い、樹液を飲む。

 寝るのは、絨毯を敷き、ペスにくるまって寝ます。


 辺りが寒くなっても、ペスの温もりで安眠安楽です。

 化け物などが近付くと、ペスが追い払いに行ってくれ、ペスの動きで私も目覚め、銃を構えて待機します。


 そんな感じで、10回目の拠点探しで移動中、『ブボォーッ』との吠え声と「チロル!逃げろ!!」男の声が聞こえて来ました。


「ペス!行くよ!!」「ウォン!」

 向こうから女の子が、走って行きます。

 ペスを見て、一瞬ギョっとした顔でしたが、私に気付き「サンセットさんを、助けて!!」「分かった!着いて来い!!」

 ペスと私は、豚頭の吠え声の方向に走りました。


 開けた場所に飛び出します。

 中央付近で、豚頭と長剣で相手する、ボロボロ服の大男が睨み合って居る所でした。


 ペスが豚頭の首に食らい付き、捻切る様に身体を回転させます。

 私は、豚頭の腎臓付近を狙い、身体ごと短槍をぶち込みました。

「グォウ!」豚頭が、悲鳴をあげました。

 角槍は思いの外、ずっぽり豚頭の腹に突き立っています。

「ギャン」ペスが殴り跳ばされます。

 跳ばされたペスは、体を捻りスタっと着地してる。

 ペスは、大丈夫みたい。


 その隙にサンセットと呼ばれた男は、豚頭の脚を深々と長剣で貫いています。


 私は、温存してる場合じゃ無いと判断し。

「ペス!サンセットさん!豚頭から離れて!!」

 豚頭の眉間を狙い、引き金を引きました。

 ドォン、キュンキュン!!!


 豚頭は、うつ伏せに崩れ落ちました。


「嬢ちゃん助かった!強いな!!あの狼は?嬢ちゃんの從魔か?」

「私は華子、從魔が何か知らないが、ペスは仲間だ」


 現地人とのファーストコンタクトは、良い感じでの遭遇でした。

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