第28話 女神と御使い様?

「女神様の光に触れ、火傷や傷が治りました」

 土下座の先頭、村長らしき老人が言いました。


 後ろからも、声が掛かります。


「恐ろしい召還獣でした!!我ら盗賊にまで情を掛けて下さった女神様に、服従を誓います!!」

 盗賊の首領と思われる、厳つい顔の大男が言いました。



 サイとしては、大博打の賭けでした。


 チートの魔法披露して、様子を伺う村人の人心を掴むのが目的で、盗賊達が治療後なおも敵対するようで有れば、3人で攻撃魔法の実験台にしても良いとの、打算目論見があっての行為でした。


 この世界、魔法が有るのか無いのか、今まで生活魔法すら使える者を見ていません、全ての怪我人を一気に回復した私を、女神扱いする盗賊達の態度を見ると、おそらく無いのでしょう。


 愁いを残す訳には行かない、盗賊達の態度如何では、皆殺しを覚悟していたサイでしたが、結果オーライでした。

 また攻撃魔法の、練習出来ず仕舞いでしたが。



 山のすそで、炭焼きと狩猟を生業にしているこの村も、ご多分に漏れず貧しい生活です。

 女神と敬われては行がかり状、放っては置けないよ。


 木を切り倒し、木の皮を剥がし、皮を叩いて柔らかくさせ、箕と笠の編み方を教え、この世界にまだ無い雨具を特産品にしました。


 炭の行商は今まで通り、箕と笠も一緒に行商すれば、その内商人が仕入れにやって来ると、村長に教えました。


「「「「「「「女神様!御使い様!有り難う御座いました!!」」」」」」」


 笑顔で見送る村民達、気持ち良く旅立ち出来ます。

 問題は、後を着いて来る50人の盗賊達です。


 期せずして女神と2人の使途になった私達、これからは其で行こうと思いますが、厳つく汚い盗賊がゾロゾロ着いて来れば、怪しい集団です。


「お前達、盗賊になる前の職業を言え!」

「女神様!儂らは傭兵団でした、戦が長く無い為に食い積めて、盗賊始めました」


「元傭兵なら闘える、何でハンターにならなかった?」

「傭兵が、ハンターに堕ちる?」


「盗賊より、ハンターの方がましだと思うが?これを見て!」

 ハンターゴールドカードを見せました。


「流石女神様!!ゴールドハンターでしたか!!」

「「「「「俺達を仕込んで下さい!!!」」」」」


 3人バイクに跨がり、ユックリ山道走行。


「頑張って走れ!体力つけるぞ!!」

「「「「「「「「「「おぅー!!」」」」」」」」」」


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