[あなたとわたしの話]

(仮名)

神様の誕生-A視点

初めはなんとも思っていなかった

視線なんか、交わってすらいなかったんじゃないかと思う。けど……実際は、目に見えない惹かれる何かがそこに確かに存在していたんだと後になって思う。

見た目じゃないから、こういうものは。


あの日の君は彗星の如くわたしの目の前に現れ、長い髪を靡かせて気丈に笑っていた。その笑みを見た直後、ゾワっとしたのを記憶してる。これが、本物なんだって感じた……。

その時はそう記憶しただけでやっぱりまだ何がどうとか、深い感情を抱く事はなかった。ただそれだけの記憶だった

なのに、それなのに 神様の悪戯かなんだか知らないけど 引力に引かれるみたいに心が持っていかれる何かがそこにあった。


ずっと引っ掛かってた。お風呂で片耳にお湯が入り込んで、タオルを耳に突っ込んでみるけど全く吸い取ってくれなくて耳が塞がってるかのようなあの感覚が。気になって仕方がないから綿棒を入れてみようと試みたんだけど 探りを入れていたら、いつの間にか君から目が離せなくなっていた。


確かに君は強くて美しくてかっこいいのだけれど、見ているとどうしてか寂しい気持ちになるんだよ。

君は君で良いのに、君の存在が良いのに自分で自分にブレーキを掛けて幸せになる事を拒否している。…ように感じるのは、杞憂なのだろうか。

確かな実力がそこにあるのに一歩下がってしまうのは何故?何が君をそうさせているんだろう。どうして?

何も分からない、遣る瀬無い…… この一般人という立場が悔しい。

きっと君は全部を、自分の色をまだ上手く出せていないよね。そこも含めてきっとわたしは君に惹かれたんだ 応援したい、そばで君を見ていたい。って思ったんだよ。


君は偶像。もう、わたしにとっての神様だ。

だから、急がなくていい、ゆっくりで良いから 本当の意味でなりたいと思う姿になってほしいよ。


一般人のわたしはそう願って応援する他ないのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

[あなたとわたしの話] (仮名) @syabukutte

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る