第58話 歓喜天の祟り―其ノ参
お栄も内心では、父親の北斎にもう少し金銭面でしっかりしてもらいたいと思わないでもない。
ところが、当の北斎は生まれついての天才肌というか、金銭にはさして興味がなく、絵さえ描ければ十分という性分であった。
銭勘定が面倒なのか、掛け取り(掛け売り代金の取り立て)にやってきたお
北斎はまた上質な画材にも強いこだわりを見せた。
お栄が北斎の表芸ではない春画、
たとえば、北斎の艶本である『
無論、お栄の代作にはすべて北斎の落款が入ることになる。大北斎の落款さえあれば、
美人画では北斎をしのぐ
ちょっと話が
さて、お栄の枕絵仕事を手伝いながら、英泉がポツリと言う。
「そういやァ、お
「さァてね。親父さんもあの齢の割に、善さんと同じ風来坊みたいなとこがあるからね。
「今度も名古屋の
「いや、今回は尾張を素通りして伊勢から紀州辺りを
「そりゃ、
久しぶりに英泉の下らぬ
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