その順番はアカンやろ!

エレジー

第1話

経営している治療院での話。私は治療院を開院して20年経つ。最初の頃は妻と二人で働いていて、仕事着は薄い青色の制服にしていた。妻も同じ色で短パンというか名前がわからないけれど、スカートのように見える服だった。パッと見、ミニスカートのように見えなくもなかった。



私の治療院は男性の比率が高かったんだけれど、もしかしたら妻のお陰だったのかもしれない。



そして、ある時期から妙な電話が入り出したからだ。その電話というのは・・・簡単に言えばエロいたずら電話だ。



電話に出るのはだいたい妻。



「はい、○○治療院です。」



「ハァハァ・・・ハァハァ・・・」



そんな電話が月に数回掛かってくるようになった。しかし、私は犯人が誰かというのは、だいたい目星がついていた。



というのも1人お客さんで明らかに挙動がおかしい人がいたからだ。妻におくる視線が粘着質を帯びていたというか、なんせ違和感ありまくりだった。



そのお客さんは3回くらい来ただろうか。そのお客さんが来てしばらくして、いた電が始まった。1年くらい続いた頃。とうとう、私の堪忍袋の緒が切れた。



「はい、○○治療院です。」



「ハァ・・・ハァ・・・」



いつもの様に、いた電が掛かってきた。ただ、その日はいつもと違っていた。



妻によると・・・



「ハァ・・・ハァ・・・」



と、いつもの様に始まり、だいたいしばらくして電話が切れていた。だが、その日は・・・



「ハァ・・ハァ・・ハァ、ハァ、ハァーー!」



と、段々ボルテージが上がっていった。



「ハァ~~~アーーーーーウッ!!」



完全にいったなコイツってのがわかる声を発していたらしい。



「とうとう、おいきになられたわ。」



妻が笑いながら傍にいた私に言った。私は、なんかわからないけれど胸の奥に感じる熱いものがあった。



「とうとう、ステージ上げてきよったな。」



腹立ちと、なんかわからない熱いものが胸の奥に渦巻いていた。そして、電話が切れて数分経った頃。



プルルル~!プルルル~!



また、電話が鳴った。妻が電話に出る。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る