第17話 図書室にて

シノザキミワは朝からずっと図書室で勉強をしていた。

夕方から友達と会う約束をしていたので、そろそろ勉強を切り上げようとスマホを見ると14時50分になっていた。

「そろそろ切り上げて帰らなきゃ。」

この図書室は人も少なくて落ち着ける場所だった。

だが、今日はなんだかいつもと様子が違うような気がしていた。

女性が迷子の子供を探しに来たり、黒い服の男の人がうろうろしていたりして、うまく集中できない時間もあった。

それでも何とか、問題集のノルマをこなし帰ろうとした時だった。

さっき見た黒い服の男が近づいてきて赤い色の液体が入った三角フラスコの中身を噴霧してきた。

その液体を浴びたミワは、急激に眠気が襲ってきた。

友達と会うためにおしゃれしてきた服が赤く染まっていくのをぼんやりと感じながら、必死に立ち上がると扉に向かって歩き出した。

それからの記憶はまどろみの中に溶けていくのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る