第15話 情報解析班

シオジリはスギモトと言う運のない警察官と直接話をしてみたくなった。

腕時計を確認すると13時46分を指していた。

もしかすると何か情報を掴んでいるころかもしれない。

データベースを弄って、マチダ署管轄の警察官スギモト巡査部長の携帯電話の番号を検索すると、電話をかけてみた。

「はい、スギモトです。」

2コール目でスギモトは出た。

「情報解析班のシオジリ警部補です。

 そちらの状況をお聞きしてもよろしいですか?」

スギモトは以下のような情報を伝えてきた。

1. 被疑者の持つ新種の細菌兵器は人体を変異させるものである可能性が高いということ

2. 被疑者がどうやって人体に変異をもたらすのかまだわからないということ

3. 変異した人体がどういう形状になるのかわからないということ

4. 変異した人体が元に戻るのかがわからないということ

シオジリは頭を抱えた。

どういう理屈で細菌兵器が人体をサナギ状に変異させるのかが理解できない上に、戻す方法があるのかないのかもわからない。

少なくとも、未然にテロを防ぐということに既に失敗しているという状況が警察の失態をさらしてしまっているということに。

報道される前に、何とかして変異した人体を元に戻す方法を見つけなければいけないとシオジリは考えるのだった。

「こちらからも確認させていただいてもよろしいでしょうか?」

スギモトはそう言うと、次のようなことを聞いてきた。

1. 被疑者の容貌について

2. 被疑者の仲間の有無について

3. 被疑者の特定が出来ているのかについて

4. 施設の管理者にはこのことは伝わっているのかについて

シオジリは今まで集まった情報をもとに以下の様に答えた。

1. 顔は特定できていないこと

2. 身元も特定できていないこと

3. 服装は上下黒色のジャージ、さらに薄手のウィンドブレーカーを着服していること

4. 仲間はおらずおそらく単独犯であること

5. 施設管理者にはテロリストが潜伏していることは伝わっていること

スギモトは「了解しました。」と答えた。

最後に必要な物資はないかと聞くと、無線を要求されたので速やかに準備すると答えた。

スギモトは細菌兵器の影響を受けていない人物が特定できない限り、今は誰も出入りさせるべきではないと付け加えてきた。

シオジリもそのことについては同感だった。

スギモトとシオジリは最悪施設内の人間には犠牲になってもらう必要があるかもしれないと言う思いを共有しあうのだった。

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