第2話 入電
電話を受けたサエグサ巡査は戸惑っていた。
ボイスチェンジャーを使ったざらつく電子音の声で気になることを言われたからだ。
逆探知は済ませた。
場所はシブヤ駅近くの公衆電話からだった。
時間は午前9時58分。
いたずらかもしれないが、こういう電話は無視できない。
早速上司の地域安全課 課長のマユズミに報告した。
「マユズミ課長、今気になる電話を受けたのですが、報告させていただいてもよろしいでしょうか?」
忙しそうに書類に目を通していたマユズミは落ちた眼鏡を中指で上げながら顔を上げた。
「ああ、大丈夫だ。何かあったのか?」
「それが、その、バイオテロの予告の電話が入りまして…。」
そう言うと、自動で録音された電話の内容をマユズミに聞かせた。
「冗談にしては手が込んでいるな。」
マユズミの眉間にしわが寄った。
「場所は?」
「シブヤ駅近くの公衆電話からです。」
マユズミは右腕を見た。
時間がない。
「わかった。テロ対策室と連絡を取ってみよう。シブヤ駅周辺の交番に連絡を入れて怪しい人物が映っていないか確認させてみよう。」
警視庁内でにわかに署内の温度が上がり始めた。
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