第55話 探索の開始
計画では、ミールの王宮に潜りこませている密偵と接触し、国王たちの情報を得ることになっている。指定された宿屋に、ゴーレム使いとして滞在していれば、密偵の誰かが、接触してくるはずだった。
あらかじめ指定されていた宿屋についてから、二日経ったが、密偵からは、何の接触もなかった。
密偵の情報をもとに、次の行動を決めようとしていたのに、密偵との接触ができない。
捕まったのだろうか?
もしも、密偵であることがバレて、捕まっているのなら、ここで待っていても、何の役にも立たない。どこの国も、自国に送り込まれている密偵や工作員には厳しい。もし見つかってしまっていたのなら、もうすでに処刑されているだろう。
ミールの王宮の内部との、何でもいいから繋がりがないと、なかに潜りこむことは難しい。
「外に、出よう!」
リンダが、俺とシェラにいった。
接触がないのは、今回の騒動で、ミール内の密偵が、あわてて、自国であるシエタ王国内に戻ってしまったのではないか?
リンダは、宿屋を出て、歩きながら語った。
外でこんな話をしてよいのか、心配したが、路上だと、盗聴用の魔法具を、隠すところがないので、かえって、話を聞かれるおそれがないのだそうだ。
「前に研修できた時にできた知り合いに、会ってこようと思う……」
「どんな方なのですか?」
シェラが尋ねた。
リンダは、しかめ面をしながら答えた。
「何回か、つきあってくれと言われたことがある男だ。むろん、その時は断ったが……」
リンダは、魔法の研修で一緒になり、リンダが国に帰るまで、しつこく言い寄ってきた男に会いにいこうという。
その男なら、口が軽い。王宮につめる護衛の魔法使いのひとりらしいが、王宮の情報なら、何でも知っていると豪語していたそうだ。
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