第50話 新たな味方
魔法陣の上の映像が、はっきりとしてきた。シェラによく似た女性の顔……長い黒髪に、今回の争乱のせいだろうか、白髪が混じり、灰色に近い色になっている。
「わたしは、大丈夫よ! あなたも無事で何より……」
「いまは、どこにおられるのですか? 兄上は、無事なのですか?」
「無事よ。王城攻めの指揮をとっているの。ほとんどの魔法兵は、逃げるか、降伏したわ」
「よかった! 逃げているときに、城内の木々に火が放たれて、宮殿に燃え移るんじゃないかと、心配していたんです」
シェラの姉は、頬がこけ、疲れた様子だったが、シェラに笑いかけた。
「ぎりぎりだったけど、魔法で消し止めたわ。魔法兵のなかにも、協力してくれる人がいたの。昔からの知り合いでね……」
すると、姉の映像に、横からフードをかぶった誰かが入りこんできた。
「無事だったみたいね。コウヘイも一緒か――」
フードがとられると、日に焼けた、たくましい女の顔が現われた。
あのゴーレム使いの女――リンダだった。
シェラは、警戒の声をあげた。
「姉上! そいつは敵です!」
シェラの姉は、まったく動じていなかった。
「リンダは敵じゃないわ。彼女が協力してくれたの。――昔、わたしが王城の外へこっそり出たとき、護衛としてついてきてくれていたのが、彼女なの」
「――姉上とは、10代の頃からのつきあいでね。わたしの最初の任務が、王族の方の護衛で、経験も少なかったから、若い王族の方の護衛にまわされたんだ」
リンダは、落ち着いた声で説明した。
「魔法兵が、国境の紛争で大勢死んで、わたしにも、迷いがあったんだ。……辺境伯たちのいうことの方が正しいんじゃないかってね」
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