第49話 再会

「友達のライナよ! 幼なじみなの!」

 ライナは、少しとがった耳と鼻、灰褐色の瞳と肌をもつ、シェラの知り合いにしては、落ち着いた雰囲気をもつ女性だった。


 挨拶をしながら、俺が耳をみていると、

「気になるの? ライナはハーフエルフなの」

 シェラが誇らしげにいう。

 どうやら自慢の幼なじみらしい。


「ゴーレムさん、と呼んだのでいいですか?」

 ライナが俺の方を向き、たずねてきた。

 答えようとすると、

「コウヘイよ! ビエラ姉さまが作ったの」

 シェラが、まるで自分が作ったかのように、やはり自慢げにいう。


「コウヘイさん……でいいですか? あなたがシェラを、ここまで守ってくれたのですね」

「いや、ビエラの行方を知りたいということもあって、王都まで一緒にきたんだ」

 ライナは、首をふった。

「あなたがいなければ、シェラは、ここまでたどり着けなかったでしょう。あらためて、お礼をいいます」

 俺は、照れた。ゴーレムでなかったら、顔が赤くなっていただろう。


「――こちらへ」

 ライナは、店の奥の倉庫らしき部屋へ、俺たちを案内した。

 部屋のなかは、売れ残りなのか、天井まで届く衣服の山が、四方の壁がみえないくらい、ところ狭しと並んでいる。

 ライナは、衣服の山を、器用に倒れないように寄せながら、奥の壁まで、俺たちを連れてゆき、壁に手のひらをあて、呪文を唱えた。


 壁に、地下室でみたのと同じような、小さな木製のドアが現われた。

 ドアをくぐると、中央に丸いテーブルと椅子があり、左側の壁によせて、2台の寝台が置かれた、ホテルの二人部屋かと思えるような広い部屋だった。


 ライナは、懐から、魔法陣の描かれた白い布を取り出すと、テーブルの上に置いた。

 俺たちを、椅子に座らせると、呪文を唱える。

 魔法陣の上に、ぼうっと、かすれたような、見定めにくい人物像が現われた。

「姉上! 無事だったんですね!」

 シェラが、喜びの声をあげた。

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