第45話 抜け道
俺たちの隠れている林の木が燃え始めた。魔法兵のなかに、手あたり次第、魔法で火をつけまわっている者がいるようだ。
「シェラ! 案内してくれ!」
俺は、シェラを身体の前にかかえて、林から飛び出した。
遠くにみえる人影が、こちらをみて、何か叫んでいる。
見張塔の前に立っていた歩哨は、俺たちが突進してくるのをみると、身の危険を感じたのか、あわててよけた。
見張塔の扉は、戦闘中のため、開けっ放しになっており、俺は、スピードを落とさず、なかに突っ込んだ。
入ってすぐ左側にある地下への階段を、シェラをかかえたまま、駆け下りた。
シェラが、かかえられたまま、魔法で小さな火を作りだし、壁にぶら下がったカゴのなかの松明に火をつけた。
油の焦げた
地下室が一気に明るくなった。
ピンポーン。
――破壊活動防御ポイントが加算されます。
ピンポーン。
――破壊活動防御ポイントが加算されました。
――借り:350 貸し:360
――転移第六期 純益:+10 負債:-10
ピンポーン。
久しぶりにポイントが入った。どうやら、政治的な活動については、ポイントの加算/消費は、制限されるらしい。このあたりのことも、ビエラに会えたら、訊いておきたい。
「もう、降ろして……」
シェラが、少し頬を染めて、俺に抗議した。
俺は、あわてて、シェラを降ろした。ゴーレムになってから力がついて、シェラ程度の体重なら、かかえていることを忘れてしまうのだ。
地下室は、一見すると、倉庫のようで、木製の箱や布袋が雑然と積み上げられている。酒樽のようなものも並んでいて、のぞきこむと、ぎっしりと矢が詰め込まれていた。
壁際には、刃に覆いをかぶせられた槍が、壁から突き出た石の
シェラは、石の床を、なめるように見つめ、地下室を一周した。
「入口はどこだ?」
俺は、待ちきれずに訊いた。
「ちょっと待って。せかさないで――」
シェラは、もう一周すると、壁際に寄せられた樽のひとつを動かそうとした。が、重いのか、動かない。
俺は、手を貸して、樽をよこにずらした。
シェラは、しゃがみ込んで、四角い石のブロックの端を指さした。
「これをはずして!」
俺は、ブロックの端のわずかに欠けた
ブロックがわずかにより、ななめに上がった。穴が開いているかと期待していたが、金属製の板が姿をあらわした。その中央に四角いへこみがあり、へこみの中に取っ手が作られていた。
松明の明かりだけでは、みにくかったが、その取っ手のあるへこみを中心に、うっすらと魔法陣が描かれていた。
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