第33話 ゴーレムの修復
翌日、作業に従事していた弟子たちを全員集めると、リンダは、俺の元の身体をすべて修復し終えたと、寝不足の赤い眼としゃがれた声で話した。
聞いていた俺も、リンダたちの苦労をみていたせいか、興奮した。ビエラ以外で、あのゴーレムを修復できるとは思わなかった。
ほんとうに、復活できるのだろうか?
前に、ビエラから、軍に弟子は大勢いたと聞いた。リンダは、直接指導を受けた愛弟子っぽいが、どうなんだろう?
ひと区切りついたからと、弟子たちが、休むように勧めると、さすがに疲れていたのか、リンダは、あっさり受け入れた。
が、自室へは戻らず、部屋の区切られた一画に入っていった。仮眠のできる簡易ベッドか何かあるのだろう。
リンダが戻ってきたとき、すでに昼飯時を過ぎていた。
背をのばし、腕をまわしながら、弟子たちに大声で呼びかけている。まだ、しゃがれ声で、はっきりとわからなかった。
やるぞ! とでも、いっているのだろうか。
リンダと弟子たちは、俺の元のゴーレムの置かれた台のまわりに集まった。
ゴーレムは、へこみもなく、破壊された頭の部分も、普通のゴーレム顔に戻っている。
俺は、ホッとした。これなら、ビエラがみつかったとき、嫌な報告をしなくてすむ。
リンダは、横たわったゴーレムの胸の心臓の位置に手を置き、呪文を唱え始めた。同時に、まわりの弟子たちも、似たような呪文を詠唱し始めた。
どうやら、全員の魔力を、ゴーレムに注ぎ込もうということらしい。憑依していたときには気づかなかったが、あのゴーレムは、膨大な魔力を必要とするものだったようだ。
ビエラが一人でやっていたことを、ここでは、リンダを入れて8人で行っている。ビエラの魔力量は、どれほどだったのか? 少なくとも、常人の8倍はあることになる。
リンダたちの呪文の詠唱が終わった。
ゴーレムには、何の変化も訪れていない。これは、どういうことだろう? まさか、失敗したのだろうか?
リンダと弟子たちの額には、大粒の汗が浮かび出ている。
「第一次詠唱は終わりました。――つづきは、1時間後に行います」
リンダの言葉とともに、疲れ切った様子の弟子たちは、休憩のために、部屋の隅へと散らばっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます