第14話 黒髪の少女

 十四、五歳だろうか? 泣きそうな顔でこちらを見ている。

 俺は、ビエラではなかったことに驚きながら、一歩進んだ。

 黒髪の少女が、ヒッと声をあげた。

「大丈夫か? ケガをしているのか?」


 俺は、ひと声かけると、じっと動かず待った。

 少女は、顔をぬぐい、大きく眼を見開いた。

「ビエラ姉様のゴーレム……?」

「そうだ。ビエラに作られたゴーレムだ」


 俺は、二歩三歩と近づき、少女の前にしゃがみこんだ。

 少女は、恐るおそる手を伸ばして、俺の顔に触れた。

 じっと動かないでいると、触れた手の指で、俺の鼻や頬をなでた。

「冷たい……。ざらざらしてる」

「ビエラの知り合いか? ビエラはどこに行った?」


 少女は、倒れたゴーレムの胴体にすがりついたまま、首をふった。

 何か話し始めようとして口を開いたが、何もしゃべらず、嗚咽をもらした。

 俺は忍耐強く、少女が落ち着くまで待った。

「ビエラ姉さまを、頼ってきたの」

 少女は、声を震わせながら、話し始めた。

「王都から、逃げてきたの」

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