第10話 ゴーレムの知性
「集まってくれて、ありがとう」
俺は、なんとなく人間に対するように挨拶してしまった。ゴーレムといっても、着ぐるみを着たスーツアクターを、連想してしまう。
「そこまで、丁寧にする必要はないぞ」
ビエラが、あきれた様子でいう。
「いや、いっしょに働く仲間だから」
俺には、ゴーレムに、知性や意志があるようにみえた。
ビエラにいうと、あくまでも、それは錯覚で、ゴーレムに意志はない。
……知性も、作り上げた時の魔力の込め方や、魔法使いの資質の違いで微妙に変わってはくるものの、おおむね、低い知性しか持てない。
事務手伝いなどの用途を除いて、ゴーレムなど、使役する魔物に知性を持たせると、碌なことはないという。常に反抗されることに気を付けなければならない。稀に、使役する魔物に、使役者が殺されるという事件もあるそうだ。
魔物と魔法……この世界を危険にしている二大要素。俺のような異世界人にとっては、まだ厳しさに直面していないせいもあるが、この世界の最大の魅力だった。
それから、毎日、俺は土砂崩れの現場に通い、作業を行った。
ゴーレムたちは、俺の命令に素直に従ってくれる。ゴーレムたちの誰かが、反抗してくるのではないか、そんな展開を予想していたのに、今のところ作業は順調で、なまけたり反抗的な態度をしめすゴーレムは、ひとりもいなかった。
現場監督のような立場のホーン殿に、ビエラについて聞いてみた。
創られたゴーレムが主人について聞くというのも変な話だが、ホーン殿は特に抵抗もなく答えてくれた。
「あなたも、一時的にゴーレムに乗り移っている方ですか? ビエラ殿と知り合ってもう五、六年になります。各地の荒れた土地で、お世話になっております」
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