『ワイルド・パーク』 下


銀河連盟地球解放機関司令長官 


 コア・ラ



『連中、講和には、応じないか?』



副司令官


 パン・ダ


 『まったく、その気はないようです。』




コア・ラ


 『地球人は、あと、どのくらい、残ってる?』




パン・ダ


 『確実には掴めないですが、最大、1万人以下。もしかしたら、その半数以下かも。最後のチャンスですな。』



コア・ラ


 『例の王女さまは、逃げたままか。』




パン・ダ


 『です。ただ……』




コア・ラ


 『ただ?』



パン・ダ


 『ヴォカリーズ星が、宇宙海賊連合に襲われて、大混乱しているようです。ダブルベース星では、宇宙ネズミが大発生し、ダブルベース・ペストが蔓延しつつあります。しかし、逆に、連中の地球司令官たちが、母星をみかぎって、このまま、地球に居座るつもりのようで、却って過激化していると、思われます。宇宙海賊は、あの王女さまと、関係が深いと思われますから、もしかしたら、逆進撃はじめたかも。無敵とも、言われますが………』



 コア・ラ 

 

 『そりゃ、伝説だろ。もし、そんなに強いなら、地球を捨てて逃げまいて。』



パン・ダ


 『たしかに。』



コア・ラ


 『よし。地球、包囲。ヴォカリーズの司令官をよびませ〰️〰️〰️。対面交渉しよう。だめなら、しかたがない。新型超光速壊滅ミサイル使っちゃおう。話が、早いから。まあ、地球人類も助からないけど。』



パン・ダ


 『了解。』




  ・・・・・・・・・・・・・・



やましん


 『ありま。ここは? なにかなあ。』




《いち子は、一行を、まるで知られていない地下室に案内した》




 いち子


 『ふん、上がれずに、もがいているな。せっかく、友好のチャンスを上げたのにな。』



 リーダー


 『え。いち子さん、なに言ってるの?』



 サブリーダー


 『怪しいとは、、、ずっと思っていたんだ。あんた、なにもの? 敵では無いだろうが。』



 リーダー


 『ああ。そうだな。ただ、あの、バス、落としてどうなるとも、思えないがな。』



 いち子


 『やましんさん、そのボタン、押していいよ。』



 やましん《赤いボタンが気になっていた。》


 『ほんと? やた。 ボタン大好き。』


  

 《ちょっと、高齢者型認知症のやましんは、ボタンに執着があるのだ。》


 

 

リーダー


 『おいおい、大丈夫か? ボタンは、押してはならないと、我々は、習うものだ。』




いち子


 『それは、ひとつ前の核戦争のストレスから出た、地球人類共通のトラウマなのです。』

 

  


やましん


 『はあい、ぶち! やったあ‼️ 押したあ。うれしいな。』



 《なんと、地球全体がスピーカーとなり、地球のあらゆる場所で、大音響で、ある音楽が鳴り渡り出したのだ。》




   じょわ〰️ じょわ〰️


   じゃっじゃ、じゃっじゃ。


   じゃっじゃ、じゃっじゃ。


   じゃっじゃ


      ぱ、ぱかぱー、


        ぱ、ぱかぱー、


            〰️〰️〰️〰️〰️



 リーダー


 『な、なんだ、これはあ。』




やましん


 『うわあ。ワルキューレだあ❗ 攻撃開始だあ。しゅわー!』




リーダー


 『わ、わる、きゅうり? この、ばか、なに言ってるのか?』



いち子


 『ワルキューレですよ。ワルキューレ。』




リーダーたち


 『??????』


  


     ・・・・・・・・・・・



 ドライバー


 『ちくしょう。上がれないよ。おわ。な、なんだこれは? うぎゃあ。か、からだに、悪い音がする。く、苦しい。』



ナビゲーター


 『殺害音波だ。それも、多重化している。』



ビジターたち


 『きょあ〰️〰️。たしけて〰️〰️〰️〰️』




 ・・・・・・・・・・・・・・・・



地球征服委員会本部


    総司令官



ラ・イオン


 『なにごとかあ。これ、止めろ。まずいぞ。我々は、この音響は、苦手だ。このままだと、全身痙攣するぞ。』



 同 作戦長官


ト・ラ


 『止められません。建物自体が、鳴っています。無理だ。ぎゅあ〰️〰️。からどあ、があ。ぎゅえ〰️〰️〰️〰️😱』




  ・・・・・・・・・・・・・・



銀河連盟司令長官


コア・ラ


 『む。地球で鳴っているこれは、音楽というものか。』



パン・ダ


 『そうです。地球人類の文化です。われわれには、再現できないものです。地球人でないと、出来ない。しかし、なんと、このような、効果があるとはあ❗ 地球支配軍団、苦しんでいます。ざま、みろ。いつも、えらそにするからだ。』




   🐼   🐼    🐼




いち子=王女ヘレナ


 《旧式のマイクを、デスクから立ちあげて、話しはじめる。》



 『よっく、おききなさい。あたくしは、タルレジャ王国の王女ヘレナ。地球人口の、かなりの部分は、あなた方の侵略時に、惑星ヘレナリアに疎開させました。複製人間を、代わりに配置しました。本体は、みな、元気です。地球に残った一部の本物の人類のかたは、お気の毒でしたが、殺された大部分の人は、死の間際にヘレナリアに次元転移させました。たいていは、生きています。あなたがたは、地球で、遊んでいただけです。なんども、和平提案したのに、すべて、無視しましたね。もう、堪忍袋の底が抜けました。ワーグナーさまの、『ワルキューレの騎行』を、たっぷり浴びるがよいわ。我が王国の、無敵宇宙戦闘母艦、アブラシオが、まもなく、平行宇宙から帰ってきます。地球に代わって、おしおきよ。覚悟なさい。』



リーダー


 『あんた、あの、幻の王女さま? 地球を見棄てた。』




いち子=ヘレナ王女


 『む、見棄てたわけではなく、ちょっと、タイミング悪かったのよ。あちこち、同時に起こった平行宇宙の反乱で、すっごく、忙しかったから、手が回らなくて。でも、たいがいの地球人は、助けたんだから。』


 


やましん


 『なんだか、いつか、会ったかなあ。』




いち子=ヘレナ王女


 『はい。もちろん。むかし、会ってますよ。仲良しでしたでしょう。』




やましん


 『だれだっけ。』




いち子=ヘレナ王女


 『ヘレナさんですよ。』




やましん


 『はあ、ヘレナさんですか。えと、どこかで、会いましたかな?』



ヘレナ


 『はい、はい。やましんさん、おつかれさま。』



 《ヘレナは、やましんを、おもいっきり、抱きしめたのである。》




 こうして、地球は、救われたのであった。




     ・・・・・・・・・・




 そのあと、しばらくして、地球の、ある《スローワーク》にて。




もと、ナビゲーター


 『あの、自動車の運転は、得意ね。タイヤが、あるやつも、大丈夫です。』



スローワーク職員


 『地球語がおできになるようなので、たぶん、なんとかなるでしょう。ここは、いかがですか? 月移住基地のタクシーです。お給料いいですよ。寮も完備。ただし、月の裏側で、ちょっと寂しいらしいです。』



もと、ナビゲーター


 『まっかせて、きださい。寂しいの、ぼくは、得意です。広い宇宙を、渡ったからね。』



       …………………………



          お わ り


 






 





  

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『ワイルド・パーク』 やましん(テンパー) @yamashin-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る