07 惰眠を貪る奴ら…
簡易型防空壕…仮拠点を設置し、暫しの休憩をとるショウとカオル。そんな彼らを監視する者が居た。これからどうなるのかは、神でもわからないのかも知れない…(この地球の神は限定された能力しかないから仕方がない)
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- 目覚め。そして…惰眠を貪るw -
「ふわぁ~…よく寝たなぁ…」
ショウは目覚めてからすぐドローンたちからのログを確認する。
「…特に何も無し、か。近くを何度か未確認の生物が通り過ぎただけか…ってか、居るんだな。地上にも生物が」
一応、映像記録を呼び出して確認してみると…
「ふ~ん…小型の恐竜みたいなのが居るんだな。まるでラプターみたいだな…」
ラプターとは全長2m前後、全高1mに満たない小型の恐竜でラプトルとかヴェロキラプトルとかいわれてたと思う。発掘された骨格から推測されてる大きさだから不正確だとは思うが…
「こいつはかなりでかいな…。全長5m前後に全高3mはないか?」
群れを作っていて5頭くらいが走っている。夜行性…というよりかは昼間は結構暑いから行動時間帯が夜になってしまうのだろう。夜目が効くらしく、躊躇ない走りを披露しているのがわかる。
「道理で昼間は何も居ないんだな…。俺らは魔導自動車に乗ってたから余り気温には左右されないで行動取れてたからなぁ…」
魔導自動車は冷暖房完備しており湿度も最適に保たれている。
「むにゃ…おはよ、ショウ」
カオルが起きてきた。こちらを見て前と変わらぬ態度を取る限り、あの世界で出会った本人と記憶は継続しているようだ。内心ほっとしつつも「おはよ」と挨拶を交わすショウ。
- 取り敢えずブリーフィング -
「…って訳で、地上を捜索しても文明の痕跡を見つけるのは大変だなってことなんだが…」
昨日1日の経験を踏まえて考察した結果をカオルに説明するショウ。カオルはふむふむと頷いていたが説明を終えると黙り込んでしまった。最初は大人しく待っていたショウだが、流石に1時間を超えた所で焦りを感じてきた。
(…ひょっとして…寝てないか?…これ)
そ~っと俯いたカオルの表情を確認しようとすると…可愛らしい小鼻から…鼻提灯がぷく~…しゅるる…ぷく~…と膨らんだり萎んだりしていた。
「ごはっ!」
思わず地面につんのめるショウ。ちなみに、ここは仮拠点である簡易防空壕の中だ。床は硬質の砂を更に固めてつるつるにした地面で、座っていたのは同じ砂を固めて生成したパイプ椅子もどき。テーブルも小さいながら生成してあった。…ショウはそんな地面に突っ伏して悶えている訳だが…
「何なんだよ、このお約束なギャグ展開は…。おぉ痛ぇ…」
床に突っ伏したせいで軽い擦り傷ができたので小回復で治しておく。
「はぁ…頭を使ったので疲れて寝ちゃったのかな…まぁいいや。この隙って訳じゃないけどステータス確認でもしておくかねぇ…」
最後に確認してから何回か戦闘を繰り返していたショウは、ひょっとしたらまたレベルアップアナウンスを聞き逃しているかもとステータスを確認することにした。
「ステータスオープン!」
【性能諸元】
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名前:ショウ(男)
職業:冒険者(初心者)
Lv: 8
SP:20
HP:12/12+
MP:29/30+
頑強:11+ 筋力:10+
精神:20+ 知識:17+
器用:11+ 運 :21+
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【技術】
固有:
生産系:錬金術Lv2 武器精錬Lv2 道具精錬Lv2 薬精錬Lv1
魔法系:鑑定Lv2 自動回復Lv2 偵察Lv4 念話Lv1(NEW!)
身体系:呼気生成Lv1 生命維持空間Lv1
その他:全言語読み書きLv1
汎用:
戦闘系:盾術Lv1 剣術Lv1 対人戦闘術Lv1
魔法系:土魔法Lv2(UP!) 回復魔法Lv1 水魔法Lv1
感知系:危険感知Lv1(NEW!)
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【装備】
ジャージ上下 運動靴
※出刃包丁+と出刃包丁の鞘+はロスト
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「お、おう…やっぱ上がってたか」
違いはレベルが2つ上がって7に。応じてSPが15に。他、土魔法のレベルが1つ上がっていた。幾つか(NEW!)の文字が躍っているがその都度確認していたスキルなので目新しさはなかった。
(う~ん…目立つから新規スキルってのはわかるけど、ちょっと邪魔かな…邪魔といえばごちゃごちゃしてきてたなぁと思ってたスキル一覧が系統別に並んでるな。いつの間にかアプデされた?)
まだごちゃごちゃ感があるにはあるが、系統別に並ぶようになったお陰で整理整頓された感じにはなったステータス表だった。ショウは増えたSPの割り当てを考え始める。
(2レベル上がったから10増えて合計15か…何を上げた方がいいか…)
今後は何かと乗り物を動かすことが多くなるかも知れない…そう考えたショウは、器用を上げた方がいいかも知れないと判断する。
ぽちぽちぽち…
Lv: 8
SP: 4
HP:11/35+
MP:29/43+
頑強:ー15+ 筋力: 10+
精神: 20+ 知識:ー20+
器用:ー20+ 運 : 21+
器用を20まで上げ、それ以外には頑強を15まで上げて知識を20まで上げることにした。残SPは僅かに4だが一応残しておく。
(ん?…何か増えてるな…)
よく見ると、HPとMPの最大値が増えている。直接でも関連ステータスを増やしていないのにも関わらずだ。
(…ひょっとして…)
知識の追加ポイントを下げてみる。
Lv: 8
SP: 5
HP:11/35+
MP:29/32+
頑強:ー15+ 筋力: 10+
精神: 20+ 知識:ー19+
器用:ー20+ 運 : 21+
続けて器用の追加ポイントを下げてみる。
Lv: 8
SP: 6
HP:11/24+
MP:29/32+
頑強:ー15+ 筋力: 10+
精神: 20+ 知識:ー19+
器用:ー19+ 運 : 21+
(ほほぉ…直接関連するステータスの頑強はHPに、精神はMPに1:1で影響を与えているけど…直接関係してない知識はMPに、器用はHPに20毎に10づつ増加ボーナスがあるのか…。そうすると運はどうなんだろ?…既に21割り当てられてるから15振っても40に到達しないしなぁ…ま、機会があったら試してみるか?)
取り敢えず最初の予定通り、知識と器用を20に戻してステータスボードの端に現れている決定ボタンをタップする。
「…ふぅ」
HPとMPの最大値が増加したことにより、多少の倦怠感を感じる。ショウはカオルがうたた寝をしていることを良いことに、魔導自動車の中へと引っ込むことにした。椅子で休憩するよりは、車内のシートをリクライニングして横になっていた方が回復するのだから。
- カオル覚醒。そして惰眠… -
「ん…はっ!?」
ぷぅ~と膨らんだ鼻提灯がぱちんと割れて意識が現実に戻ってきたカオル。小鼻からぷらんと鼻水がぶら下がっているが気にせずに周囲を見渡す。釣られて振り回された鼻水がぺちょんと頬に張り付いて初めてそれに気付いて指で引き剥がす。
「む~…」
念動力を使って頬と指に付いたそれを分解し、魔導自動車の中で寝るショウを発見する…
「ずるい…わたしも寝る!」
とことこと歩み寄り、車内へ入るとショウに寄り添って惰眠を貪り始めるのだった…
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何この緊張感の無さは…と思うなかれ。次話、何かが起こる前兆と思って頂ければ…(いや、いきなり世界が転生する訳じゃありませんが)
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