06 天空の城(違います

第2の世界…人類を襲った別種族との世界大戦が勃発し、人類が存亡を賭けた特殊爆弾で世界の根底を覆してしまった世界であるショウはそんな世界に文字通り墜ちたのだった…

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- 海底2万マイル…ではない(そもそも海底じゃないし! -


「う~ん…ここら辺は陸地が狭い、のか?」


仕方なく干上がった元海底を魔導自動車を走らせている。世界が違う筈なのだが日本列島みたいな細長く狭い陸地だったらしく、すぐ元海底だろう陸地に出てしまう。


「大陸棚の上か…気を付けないと海溝に落ちてしまうな…」


一応、偵察スキルで出したドローンに監視させてはいるが、100km/h以上の速度で走っているとうっかりミスでやってしまうかも知れない。


「ん~…むにゃむにゃ…」


カオルは隣の助手席で惰眠を貪っていた。頬を指で突いても起きそうもない…


(俺も寝たいっての…はぁ…何処か安全そうな場所があればいいんだけどなぁ…人が住んでそうな場所とか、さ…)


だが、探索しても全然そのような場所は見つからず。取り敢えず洞窟みたいな場所でもないかと走らせている訳だ。


(う~ん…陸地から離れたのは不味ったかな…全然それらしい場所すら見つからないんだよなぁ…)


それどころか最初に遭遇した複葉機すら遭遇しないという始末だ。陸地から探索するよりは、空から探索した方がいいのかも知れない…


「はぁ…そろそろ夜か…何処か適当に野営するしかないか…」


ショウは何処まで行っても多少でこぼこした大陸棚に溜息を吐きながらも、適当な位置に魔導自動車を停車させるのだった…



- (この地球になってから)初めての野営! -


「しょうがない。ここら辺に仮の拠点を創るか…」


とはいえ、いつでも出られるようにそれ程労力を割くつもりは無い。ショウは土魔法「穴開け」を発動して目の前の地面に穴を開けていく。


〈土魔法のレベルが上がりました! Lv1→Lv2〉


・土魔法Lv2…土壁生成 強度増強 強度減退 拠点生成


・土壁生成…土属性の壁を生成する。無指定では高さ3m・厚さ50cm・長さ10mの土壁を1m離れた位置に生成する。指定できるパラメータは先の4つに加えて強度も指定できる。大きく厚く長く強度がある土壁を生成できるが消費MP次第。応用次第では硬くて強度のあるブロック石を生産することも可能(その場合、地面から浮いた位置にパラメータ指定すればいい)

・強度増強…土・石属性の物質の強度を上げる。土魔法のレベルが上昇して作用範囲が広がれば、金属や生物の防御力にも影響を与えられる

・強度減退…強度増強の逆作用をする。それ以外の性質も強度増強に準ずる

・拠点生成…文字通り、土を盛って簡易的な拠点を生成する。無指定の場合、3名程度が入れる簡易的な防空壕が生成される。強度はお世辞でも強くはないが数発の爆弾には耐えられるだろう。指定できるパラメータは半円ドームの半径と高さ、設置する深さと入口の大きさとなる。強度は別途説明されている強度増強で後から強くできるので、不安であれば強化すると良い



「えっと…」


土魔法を使っていたらスキルレベルが上がり、新たな魔法を覚えた。詳細説明を見ると、今まさに必要な魔法が含まれていることに気付いた。


「お~…こっち使った方が楽できそうだな…」


ショウは穴を開けた地面の上に「拠点生成」を発動させてみる。


(魔導自動車が入って少し余裕ができる程度の大きさで半地下の…拠点生成!)


魔法が発動し、目の前の穴が開いただけの地面が少しだけ盛り上がり、ドーム状の拠点が生成される。そして、魔導自動車が侵入できる程度の大きさの入り口とスロープができあがった。


「お~…できたできた。じゃ、早速車庫入れするか」


ショウは乗車して中に入れてくれと指示する。魔導自動車はゆっくりとスロープへ入り、拠点生成でできあがったドームへと入る。



- できたてホカホカの仮拠点 -


「ほほぉ~…思ったより広いな」


中へ入って停車し、車外に出ると魔導自動車の3倍程度の広さがあった。丁度、中でUターンができる程はあるようだ。出入口に目を向けると、下から入口を塞ぐシャッターがせり上っていた。シャッターには外が見通せる半透明な窓があり、スロープが見えないように左右からカバーがスライドして行く所が見える。


「え?…何このハイテク魔法…」


単に防空壕ができるだけの魔法と思っていたら、まさかのハイテク機構付きの拠点が生成されていた。レベルが上がると、もっと凄いモノができそうなチート魔法の予感がする…


「…まぁいっか。取り敢えず今日一晩で立ち去る予定だけど…な」


無茶苦茶強度がある訳ではないから取り壊すのも簡単だろうと思い、携帯食料を取り出して食べ、水を飲んでから寝ることにした。カオルさん?…ずーっと寝てるので放置することにした。



- 上空からの視線の持ち主たち… -


「…驚いたな」


「あぁ…ロストテクノロジーの所有者か?」


「かも知れん」


ショウがこの世界に現れてから暫くの後、魔導自動車を生成して暫く後から身を隠しながら監視していたこの世界の人が居た。ツーマンセルで行動し、空からの監視の目を光らせていたのだ。偵察魔法で操るドローンは低空を地面に向けて索敵していた為、上空から監視している2人には気付くことはなかった。ましてや2人は光学迷彩で姿を消しており…仮に上空へ目を向けても、光学監視で索敵していたドローンやショウたちの目には映ることはないだろう。


「基地には連絡を…あぁ、電波を使うなよ?…傍受される恐れがあるからな」


「了解。鳩を使う…」


「あぁ、それでいい」


指示を出した者は眼下にあるドーム状の建築物の監視を続行し、指示を出された部下らしい者はサラサラと紙切れにメモを記し、懐から出した鳩のような金属製の鳥の足にメモを丸めて装着すると、大空に放り投げた。投げられた鳩?は羽を広げて滑空した後、羽ばたかせて基地があるであろう方向へと飛び去って行く。それは更に高い位置へと向かうようであり、基地とは空中にあるのだろうと推測するに難くないのだった…


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空中に浮かぶ建造物…ばるす?(それ違うしw

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