第3章 第2の世界

退廃した地球を彷徨う!

01 世界転生を目の当たりにしたショウ

謎の巨人が現れ、岩塊を投げつけられ、世界が崩壊を始めた…

━━━━━━━━━━━━━━━


- 白い世界 -


「え…と、何だ?ここ…」


確か、危険感知がヤバイことになって後ろから何か投げつけられて…


「真っ白な部屋?世界?」


きょろきょろと見回す。何もない、真っ白な世界に居た。わかるのはそれだけだ。


「死んだ、のか?」


ラノベでよくある展開だったよな?…と思いながら身を起こす。取り敢えず自由に体は動かせそうだ。


(この展開だと…神さまが現れたりするんだけど…誰も居ないな…?)


肉体があるように見えるけど、魂だけの存在になってるのかな?…とか考えるが一向に変化が現れない。周囲を見てもカオルやシィナも存在しない。王都の中とは思えないし、やっぱり死んだのかな…そう思って沈んでいると…


(ん?…何だ?)


白い空間が徐々に暗くなり、やがて宇宙空間みたいに暗くなる。遠くには星々が…大気が無い為に瞬いてはいないがその存在を自己主張するかのように輝き始める。すぐ近くには衛星である月も太陽の光を反射している。


(これは…地球が消えて…宇宙空間に放り出されたってことか?)



〈呼気生成スキルを取得しました〉



〈生命維持空間スキルを取得しました〉



危険感知スキルと痛覚軽減スキルに続いて、再び今すぐ必要であろうスキルを2つ取得するショウ。どうやら魂だけの存在ではなく、肉体を維持したまま…要は生きているということらしい。



〈生命維持空間を自動展開。続けて呼気生成を開始します〉



生命に危機を感じたのか、システムによりスキルを自動行使したようだ。


「ふぅ…息ができるな…でも、このまま空気のある場所に辿り着けなかったら…魔力切れで終わりだな…」


そんなことをぼ~っと考えながら、ショウは地球があったであろうその空間を見詰めていると…徐々に何かが見えてきた。


「な…何だ、あれ…は…?」


それは、何かのぼやけた焦点が少しづつ合わさっていき、はっきりと見えるようになっていくかのような…。


「あ…やばい。ここから移動しないと、多分、巻き込まれる…」


それは…徐々に、段々と加速していき…確実に見えるようになっていった。



〈長距離転移スキルを取得しました。自動発動します〉



システムがそういった瞬間、ショウは数100kmもの距離をそこから離れた。だが1回では足りないようで、もう1回。もう1回と転移して行く…


「ははっ…やべぇ…消費MPが何故か少ないのは助かるが…」


残りMPが半分を切った頃、それは現れた。青い惑星、地球…の筈だったその星は…ものの見事に赤かった。


「え、なに…まるで放射能爆弾を何10回も落とされた後みたいな地球?」


かつての青い星の面影は消え失せ、海が干上がり、緑も無い荒涼とした岩と砂だけが存在する惑星と化した地球が、そこに在った…



- 地球と思われる天体から離れること凡そ1000kmの位置… -


「…いつまでもここにいてもしょうがないか…転移!」


長距離転移の発動キーワードを唱えて(頭の中で唱えても構わないが、敢えて口にしてみた)対流圏に転移する(とはいえ、何回か唱えないと到達しなかったが…)


「…別に放射能に汚染されてる訳じゃないのか?」


危険感知スキルが何も警告を発しない所を見るとそのようだ。


「もっかい転移!」


高度1万m辺りに到達する。既に重力に引かれて自由落下を開始しているが、目視で見える範囲には何もない。まだ吸える程空気が濃くない為、生命維持空間…要はバリアは解除されない。


(まぁ…むちゃくちゃ気温が低いだろうし、解除したら凍死しちゃうだろうしな…)


暫く自由落下に任せ、吹き荒れる空気を突っ切りながら周囲を見回すが…文明の欠片すら見当たらない。


(1万mつったら10kmか…でっかいビル群くらいなら見えそうなもんなんだけど…なぁ…。下手すると文明どころか人類が絶えた世界か…)


そんな予感がしつつ、不意につー…と目尻から涙が頬を伝う。


(…)


何となく胸にぽっかりと穴が開いた気がして、心の中を虚無感が占めていく…と、視界の端に何かが見えるのに気付く。


(ん?…なん…だ?)


キラっと光ったかと思えば…


どぅるるるるるるっっっ!!!


「どわぁぁああっっ!?」


バルカン砲だかガトリング砲だかわからないが、いきなり銃弾の嵐がショウを襲って来た!!…ショウは耐弾性能が有るのか無いのかわからない生命維持空間の性能を過信せずに短距離転移で回避する!


「なっ…なん、だ…いきなり!?」


心臓がバクバクいう中、ショウは思ったよりは低速で通過する飛行物体を見ながら叫ぶ。それは…地球の複葉機に似たシルエットに見えた。


「まさか…今度は空戦戦記ものの世界にでも転移したのか?」


エンジンとプロペラの唸り声を上げながら回頭し、こちらへ今一度突進しようとする複葉機を見て、ショウはそんな呟きを漏らすのだった…


━━━━━━━━━━━━━━━

Q:剣と魔法の世界らしい地球は何処行ったんですか?

A:世界を終わらせる巨人の乱入で崩壊しました!

Q:ちょっと待てやこら!

A:待ちません!w


※カオルたち?…あの世界の生命は全て抹消されましたが、ショウの従者召喚で召喚よばれたカオルはそれに該当しないので…運が良ければ存在してるでしょう。多分…きっと?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る