18 終わる…世界?

王都に入って暴走するシィナ。暴走の理由をカオルに尋問されていると謎の大型巨人に襲われる。果たして、一行はどんな連中に目を付けられたのか…謎が謎を呼ぶ!

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- 襲撃の巨人! -


(なんじゃこりゃあっ!?)


心の中で叫ぶショウ。だが、叫ぶだけで何もできる状況ではない。


(ぐああっ!?…あ、頭が痛っ…ぐぅぅ!?)



〈危険感知スキルを取得しました〉


〈危険感知スキルが警告を発しています。最大危険感知レベルを確認。警告は痛みを伴うレベルです〉


〈世界崩壊レベルの危険を感知しました。危険です。今すぐに回避別次元跳躍をお勧めします…〉



ショウの目の前に次々とシステムからのメッセージが表示されていく。新しくいきなり取得した危険感知スキルからは脳内に警告が痛覚を刺激してまともに思考することを邪魔しており、これでは動きたくても動けないという状況に追い込まれて本末転倒となっている。



〈痛覚軽減スキルを取得しました〉



すっと痛みが薄れていく。若干の痛みはするもののかなりマシとなったといえよう。


(…一体何だったんだ…ってっ!?)


「ずどぉおんっ!」とも、「ずがぁあんっ!」とも、どちらともいえるような衝撃が背後から響き、ダッシュで逃避中のデュラハン馬車が更に加速される。そして、余りの衝撃にショウは意識を失ってしまう。残念ながら、デュラハン馬車のショックアブソーバ衝撃吸収装置は地面からの衝撃を吸収するだけであり、投射された巨大な岩塊の衝撃を吸収するようには作られていなかったのだ…


「「「ぎゃああああっ!?」」」


付近の王都の民たちを巻き込んだ衝撃はその悲鳴をも飲み込み、まるで核攻撃でも受けたかのような破滅のドームを拡大させていった…。王都の領土全てではないが、城壁の内部の一部は高熱で完全に焦滅し…まるで核融合で熱せられたかのように溶けて蒸発した。そのクレーターの深さは最深部で1kmに及び、表面には熱と圧力で生成されたガラス質の物質ができていた。光のドームの最外部からは徐々に熱が下がって行くのがわかる状況だが、王都に生きている者は存在しておらず…周辺の町や村も影響を受けて重度の火傷を負った民が倒れ、彷徨う生き地獄と化していた。そして…世界は再び転生する。



- 地球近傍の別次元某所… -


「な、なんじゃ…あの巨人は…」


「あれは…週末の…いえ、終末の巨人…ですか?」


男性管理神がおののき、女性管理神が余りの状況にボケ、すぐに訂正する。


「終末の巨人?…確か、それは世界を7日で破滅に導いたとかいう…」


男性管理神が記憶から該当する対象を口にする。


「いえ…あれは確か100体程居た筈です。ですが、このコピー世界には存在しなかった筈です…」


女性管理神が同じく記憶から今見た情報と異なると反論する。


「一体…どうなっているのじゃ?…この世界…地球は…」


監視鏡を見詰める男性神の額に不自然に冷たい汗が流れる。背筋も悪寒でざわざわとしている…


「わかりません…。直ちに上位神界に連絡を…」


「うむ…指示を仰がんとのう…」


2柱はしがない下級神でしかない。勝手な判断はできないし、勝手な行動も取ることができない。人間でいえば中間管理職ともいえる…。それも、究極ブラック企業の…


(はぁ…何処が「監視して何かあったら上司に判断を仰ぐだけ」の簡単なお仕事よ…失敗しちゃったなぁ~…)


女性管理神が溜息を吐きながらそんなことを考えていたが、根が真面目な男性管理神は真面目に監視鏡を見詰めるだけであった…


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神さまの世界も色々と世知辛いようです。根を詰めて仕事しても死ぬことは稀でしょうが、倒れてしまうと後任が着くまで放置プレイになりそうなので無理はしない方が良いでしょうね!(倒れたら数世紀単位で放置されそう)

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