改めてファンタジー地球へようこそ! ~王都編~

16 未来への選択肢…気付かずに選んでいると気付いた時は、もう手遅れだった…?

トチーアを出て王都へ馬車でひた走るショウ一行だったが、王都の直前で倒れているご老体を拾ってしまう。果たして、トラブルの予感しかしない展開に一行は無事に王都へ辿り着けるのだろうか?

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- 王都へ到着! -


「これが王都か…」


徐々に目前に広がってくる景色に目を奪われる一行。もうすぐ夕方になるがまだ日差しは明るく、暮れるまでは時間が掛かるだろう。その中で見えてきた王都の城壁の大きさ。その城壁を超えて尚見える王城の壮大さに目を奪われている。


「あれ、何mあるんだろ?」


カオルは城壁の高さに興味が行っているようだ。勿論、その奥の王城の高さにも興味津々だ。流石にそれ以外の建物は城壁よりは低い為に今は見えないが、中に入るとそちらに目を奪われるに違いない。


(高さって…何とかと煙は高い所が好きって奴?)


失礼なことを考えているショウは馬車の屋根の上から降りて、今は御者台に座っている。ご老人の相手はシィナに丸投げのつもり満々だった。


(それにしても…あの老人は何者なんだろうな…)


考えてもわからないことはわからないとショウは考えることを止め、城壁の出入口から延びる行列を見て溜息を吐いた。


(それにしても…今からあの列に並ぶのかぁ…入れるのは何時になるんだろ?)


ざっと見、1kmは並んでいる行列を見て「うげ~」っと項垂れるのであった…。



1時間後…一行はようやく順番が回って来ていた。シィナがげっそりとした顔で馬車から降り、予め用意していた書類を手に門兵の前へ出て行った。


(何か面倒そうだなぁ…)


(ほんと)


犯罪者が王都に入れば色々と不味いのはわかるが、周辺の町と往復する商人がこんな面倒なことを毎回するのは面倒だろうなぁ…などと思っていると、馬車の中を検分すると門兵の1人が来ていた。


「あ、はい、どうぞ…」


失礼するぞ…と、馬車の中を改めているが中には途中で拾ったご老人が1人居るだけだ。もう1人は現在進行形で別の門兵と中に入る為のやりとりをしているからな…


「へっ!?…陛下!?」


「…しっ!」


何か中から短く叫んだような気がしたが何だろう?…と思い、戸を開けて見ようとしたが中から2人が出てくる所が見えた。


「あれ?…どうしたんですか?」


気になって訊いてみると、


「いや何、迎えが来たんでな…世話になった」


と、謎のご老体は門兵に連れられて城壁の中へと歩いて行った。


「あぁ、王都の人だったんだ。…まぁいいか。知り合いに会えたようだし良かった良かった…」


と、深く考えずに一人で頷いていた。と同時にシィナが戻ってくる。


「お待たせ!…さ、中に入るから馬車を!」


シィナが馬車へ駆け込むと同時にカオルがデュラハン馬を操作する。


「ハイヨー、シルバー!!」


「いや、そんな名前付けてないですけど?」


カオルのありがちなボケに突っ込みを入れるショウだった…



「確か、エンバートはこっちにある宿屋を取ってるって聞いたんだけど…」


シィナはカオルと御者を替わってデュラハン馬を操っている。ショウは馬車の方へ戻って垂れて…いや、ソファに寝そべっている。


「なぁ…重…くはないけどさ…どいてくれないか?」


重いといおうとして睨まれたのでいい直すショウ。カオルは寝そべっているショウの腹の上にうつ伏せで寝そべっている。ショウは胸元に触れている柔らかい潰れた双丘に視線が行かないように天井を睨みながら口を尖らせる。


「い、や。ショウくん成分の補充するのを邪魔しない…」


なんだそりゃ…と思いつつ、御者台に居るシィナにバレやしないよな?…と内心汗をかきながらショウは抗えないでいる。女性の双丘の魔性に囚われつつあるショウだった…(否、男だったら大抵は抗えないだろう!)



「あったあった、ここだここ」


エンバートの宿泊している宿を見つけて馬車を止めるシィナ。ショウは取り敢えずカオルにどいて貰い、御者台へと戻って座っておく。カオルも後からついて来た。


「…戻って来ないな?」


「…ん」


暫くするとシィナが戻ってきた。エンバートが居ない所を見ると、まだ戻ってないようだ。


「移動するわ。そこどいて!」


「お、おお…」


ショウとカオルはシィナの迫力に押されながら御者台からどいて馬車カーゴルームへと戻る。シィナが御者台に着き、周囲を確認するな否や馬車を急発進させる。


「どわぁっ!?」


「…舌噛んだ」


背後の馬車内の状況を確認せずにシィナは一路エンバートの行っているであろう場所へとデュラハン馬車を暴走させる!


「ちょちょっ!待て待て!…交通事故を起こすぞ!?」


「…聞いてないわね?」


シィナは宿屋で何をいわれたのかわからないが、かなり焦っているようだ。原因は訊いてみないとわからないが…


(う~ん…こりゃ訊いても答えてくれるかわからんなぁ…)


背後ですれ違った馬車が正面衝突してるような破壊音が聞こえてくる…。この先、どんな運命が待ち受けているのか…馬車内の2人には知りようがなかった…


━━━━━━━━━━━━━━━

シィナは宿屋で何をいわれたのでしょうか?

1.滞納してるエンバートの宿泊料金を代わりに支払い請求された

2.部屋の荷物が異臭を放って堪らないと苦情を聞かされた

3.そんな人来てませんよ?…といわれた

正解が3択であるとは決まってない(まて

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