改めてファンタジー地球へようこそ! ~王都への道中編~

11 「暗がりの追い剥ぎ団登場!」ショウたちに出会ったが故に壊滅する運命の悲しき出会いが明日を奪う!

受付嬢のクララ嬢にシィナとショウがカオルという子ができたのか?という疑惑を浮上させられるが、ガンヅケして黙らせる一幕があったとかなかったとか(ちょ

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- 暗がりの追い剥ぎ団登場! -


「…はぁ…ん!?…面倒そうなのが来たなぁ…はぁ」


偵察スキルで飛ばしていたドローンから警告が通達される。馬車の操作に集中力を傾けていた為に敵意を持つ者が何者かまではわからないが…何にせよ、この馬車を狙っていることだけは確かだ。


「シィナさん、カオル…この馬車を襲おうとしてるのが近づいてるようだけど、どうする?」


言外に訊いているのは逃げる為に走る速度を上げるか、或いは…


「勿論、オール・キルで」


カオルは存外怖いことを平気でいうタイプだった!…外見が美少女なのだが荒れた人生?を送っていたかの如く。まぁ、設定上はアレだからな…。普段はもっとお上品だったと思うんだが、それは平和な時間を過ごしてる間だけだったっけ?


「勿論襲ってくるならば倒すのに躊躇はしませんが…本当に悪人、或いは怪物モンスターなんですか?」


シィナもそう返して来た。今日は流石に魔力不足で精霊を飛ばすことは叶わなさそうだが、そのやり取りの時間もあらば、後方から矢が飛んでくる。


かきっ!


だが、頑丈な石材で構成された馬車には突き刺さることはなく、矢は弾かれて落ちて行った…と思いきや手で受け取るカオル。


「シィナ姉ちゃん、矢の在庫が~っていってたでしょ?はいこれ」


いつの間にかショウの足の上から消えていたカオルが、落ちそうになった矢を回収し、シィナへと手渡していた。目にも止まらぬ技とはこのことをいうのだろうか。


「あ…ありがと」


手渡された矢は良い品質とはいい難いが、普通の射程目に見える距離で使うには十分だろう。そうこうしてる内に何本かの矢が飛来し、しゅぱぱっ…と馬車に当たる前にキャッチするカオル。その様子を見ている者が居れば、その身や腕が分身しているかのように見えただろう…



- 時は遭遇エンカウントするやや前に戻る -


「お?…親分!鴨がネギしょってやってきましたぜ!!」


「どれ…確かに。って、何だあの馬は…首が無い。ははぁ、ゴーレム馬か。乗ってるのは金持ちだろう。若しくは魔法使いか?…どちらにしても金目の物を運んでいるな…よし!行くぞ、野郎ども!!」


追い剥ぎどもはショウたちの馬車が通過し、遅れること1~2分で追いかけ始める。全員馬に騎乗して弓矢を装備している。狙う馬車は式LEDライトで明るく照らされているせいで的である馬車を狙うには困らなかった(ランタンと同様に周囲を照らすモードになっていた為)


「ひゃっほう!…あいつら馬鹿か?…自ら狙って下さいっていってるようなもんだぜ!!」


「ぎゃははは!撃て撃て!一本も外すなよ!?」


追い剥ぎどもは弓矢を構え、事前通告も無しにひゅんひゅんと射かける。最初の一本が弾かれたことすら気付かずに矢筒の半分を撃ち終えた頃、仲間の一人がおかしいことに気付く。


「なぁ…こんだけ撃ち込めば、普通速度を落とすなり馬が怖気付いて止まったりしないか?」


御者も危険を感じて馬車の速度を落とすか、横転の危険を考えて止めるなりする筈だが、その気配もない。ゴーレム馬が怖気付くなんてことは無いのにそんなことをいうアホも居るのだが「変だな」と同意するアホたち。そして、今も近付きつつある馬車には一本の矢も突き立ってないことに不審を感じ始める。


「ふん…昏い夜に襲うのが我らが暗がりの追い剥ぎ団の方針だ。怖いならアジトに戻ってクソして寝ててもいいんだぜ?…その代わり、分け前は無いけどな!」


隣にいた団員が鼻息も荒く、不安に口を滑らせた団員を弄る。


「そうだそうだ!帰れ帰れ!」


と、周囲の団員がディスり始めた頃に、団長…親分と呼ばれた者が怒鳴る。


「沈まれ!…どうやら様子がおかしい。誰か見てこい!!」


そういって親分の目の先には走る速度が緩み、停車寸前のショウたちのゴーレム馬車の姿があった。ゴーレム馬は常足なみあしと呼ばれる速度まで落としており、手綱を持ったショウ以外は馬車の屋根の上に立っていた。



- デュラハン馬車・天井荷台 -


「目視確認…居たわ。盗賊?の集団ね。全員弓矢を装備して馬に乗ってるわね」


シィナが残り僅かな魔力を用いて精霊視を行使。千里眼系の魔法の中でも中距離までの遠視と暗視を兼ねた魔法であり、夜間戦闘に尤も効果が高いとされている。


「こっちでも確認したわ。どうする?」


カオルは自前の超能力で自らの眼を強化した。瞳を見れば、猫のように瞳孔がまん丸く開き、少ない明りをかき集めて夜の行動に支障の無い形態にしているのがわかるだろう。


「一応話し合いは…」


ショウが御者台から話し掛けるが、


「却下。盗賊の類は人に仇成すだけの集団。殲滅しろとはいわないけど、こんな人里離れた場所では、寧ろ捕らえて連行する方が手間だから…」


皆殺みなごろす?」


カオルが恐怖の一言で訊いてくるが、


「あ~、なるべく人は殺したくないな。捕らえて労働奴隷で売れば金になるって聞くし?」


とショウが答えると、


わかったサー・イエッサー


いうが早いか、カオルがその場から姿を消した。と同時に盗賊?たちの方から悲鳴が上がり、1分も掛からずにその悲鳴すら聞こえなくなった…怖ぇ…


「え、うそ…」


「まじか…」


シィナとショウは、ゆっくりと戻ってくるカオルを見て戦慄せんりつの表情を浮かべ、一言しか口にできなかった…。ちなみに、彼ら盗賊?たちが騎乗していた馬たちもハミをロープで結わえて連れてきていた。特に逆らう所もなく…寧ろ恐れられている節があるように見えるが…


「ショウくん。荷車を使うから」


「あぁ、うん」


ショウは馬車の天井に設置している荷車を下して展開する。カオルは荷車にロープを結わえて馬車に接続する。持ち手の部分を馬車の後部に接続する形だ。そして、荷車に縛り上げた盗賊?たちを積載する…その数13人。


「ん~、ギリギリかな?」


最後に振動で落ちないようにロープで固定する。下の盗賊?が圧死しないように板で区切って3段重ねになっている。5人、4人、4人といった構成だ。


「おっけー。じゃ、村か町かわかんないけどレッツゴー!」


野営するつもりだったんだけどなぁ…というショウの呟きを無視して、カオルは再び御者席に乗り込み、シィナは馬車の後部から荷車の監視を。馬たちは大人しくゴーレム馬車を追う形で進むのだった…。


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夜通し進んだお陰で隣町に朝早く到着します。勿論、追い剥ぎ団はその町の官憲に突き出し、感謝されるのですが…。

馬?…馬たちは連れて行く訳にもいかないので町の該当施設に売り払うこととなるでしょうが…その描写をする予定はありませんw

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