08 3回目の戦闘で牛頭魔人との遭遇!?

ミノタ…牛頭魔人と遭遇しました(あっさりマイルド)

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- 対牛頭魔人(ショウ視線) -


「ふわぁ~…あふ」


カオルが暇を持て余して大あくびをかました時、それは起こった。


どどぉぉおおんんっっ!!


「どわぁっ!?」


「え?なになに!?」


偵察に集中していたせいで突然の轟音にどびっくりして狼狽えた声を上げる。


「ん…敵?」


カオルがのそり、と立ち上がる。さっき、大あくびをかいた同一人物と思えない程のキリリッとした凛々しい顔立ちであった!w


「そこ、うるさい」


びしっ!と指弾を弾いてどこかの誰かに突っ込みを入れるカオル。一体誰に攻撃したのだろう?…指弾を弾いた先を見ても、壁があるばかりだった…


「外、行くわよ!」


カオルは椅子から立ち上がるとすぐドアに向かい、一旦止まって逡巡していたがなるべく静かにドアを開けてから飛び出して行こうとしてこちらを見る。


「あ~…わかった」


折角偵察スキルを行使して周囲を監視していたが無駄になったなぁと思いつつ、カオルの後に続く。シィナさんは魔力を使い過ぎたのか顔が青褪めていたので取り敢えず放置。今、無理に出て行っても戦いにならないだろうと判断したからだが…取り敢えず現れた驚異を取り除くか撃退するのが最善だろう。



- 休憩所の外 -


「ていっ!…う~ん、抵抗力が強いなぁ…」


小屋の外に出ると、目視で10m程先に空中で拘束されているミノタウロスが暴れていた。尤も、地に足が付いてないのでジタバタ足掻あがいてるだけなんだが…


「あ~…念動力テレキネシスか…というか、カオルさん…ちゃん?…は超能力サイキック以外に能力あったっけ?」


隣で片手を出してうんうんいってる美少女カオルに問いかけると、


「敬称略でいいよ。この世界に召喚された時、元々ある超能力以外に幾つか付与されたっぽい。けど…」


「けど?」


視線は牛頭のモンスターから逸らさずに続きを促す。


「って、うわぁっ!?」


持っていた巨大な斧を不十分な体勢で投げ寄越す。狙いは外れて小屋から数mずれた地面に弾着する。いや、弾ではないけど。


ずどぉんっ!


10数秒遅れて中に居たシィナさんがドアを蹴破って出てくる。余程慌てたようで、足を滑らせてすてーんっ!と転んでいる。ギャグマンガの鏡のようなリアクションで、うっかり笑いそうになってこらえる。


「うぷぷ…」


「全然堪えてない…」


カオルに突っ込まれ、「んん゛っ!」と咳払いをして前を見る。ミノタ…牛頭魔人は手から獲物を失い、どうすることもできない…と思っていたら唾を飛ばしてきた。まぁ届かないんだけど…汚ったな!


(一応鑑定してみるか…討伐部位とか何処かわからないし、消し飛ばしてからそこが討伐部位だったら困るからな…)


という訳で、改めて鑑定スキルを行使する。



牛頭魔人ミノタウロス

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◎牛頭の魔人。首から下は魔人である。出生は不明とされているが、そもそもそのような種族ではないか?と推測されているが詳細は不明

◎人間側、魔族側の区別なく神出鬼没の存在であり、討伐されるか当人?が満足するまで暴れてまわる。一説によると、食欲を満たすと元の世界?に還るといわれている

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(う~ん…鑑定スキルがLv1だからなぁ。これ以上詳しくはわからないっか…)


まだ10回も鑑定はしてないせいか、スキルレベルは上昇していない。世間一般の鑑定スキルが何回行使すればレベルアップするかは不明だが、まだ暫くはかかるだろう。


「取り敢えず…見た目からして接近戦は危険そうだな…なら」


現状、唯一の攻撃魔法を含む土魔法を使おう…そう思った途端、目前に小窓が映し出される。



〈どの魔法を行使しますか?〉

・土魔法Lv1…小石生成 石礫投射 穴開け 土埃生成



(あれ?…以前穴開けを使った時はこんなの表示されなかったけど…)


そう思っていると、更に下に詳細な記述が追加された。


・小石生成…手の平に乗る大きさの小石を生成する

・石礫投射…砂~小石の大きさの土属性の塊を投射する。最初に投射する対象を指定した後、着弾目標を指定する。着弾位置を指定すると、障害物に当たらない限り対象を目標位置に当てることができる

・穴開け …指定した地点に任意の大きさと深さの穴を開ける。指定した大きさに合わせて消費魔力(MP)が増大する。無指定の場合、1m先の地面に人間の片足が嵌る程度の穴を開けることになる

・土埃生成…細かい土埃を利用した煙幕を生成する。任意の範囲を土埃煙幕で覆うことができる。指定した範囲と距離に合わせて消費魔力(MP)が増大する。無指定の場合、行使者の周囲を囲う程度の範囲となる。またその性質上、風が強い時や雨天の場合は効果が薄くなる



(これまた詳しい説明が出てきたなぁ…)


尤も、説明は無いより有った方がいいと素早く読み込む。使おうと思っていた石礫投射ではあったが、いきなり使っても思った通りの効果は無いことがその説明を読んでわかった。


(つまり、既にある物を投げつけるスキル…魔法であって、石礫を生成して投げつける効果じゃないということか…)


名前から連想するのは石礫を生成して投射…投げつけるという効果だが、詳細説明を読むに、砂粒から小石程度までを目標に向かって投げつけられるようだ。


(尤も、どの程度の速度で射出するのかまではわからないんだけど…)


「小石生成…」


ショウは物は試しと、小石生成で手の平に思い浮かべた小石を生み出す。…そう、「手の平に乗る大きさの小石」をだ。但し、常識的な小石ではなく、手の平に乗る大きさ・・・・・・・・・であって、ギリギリ片手持っていられる重さである。


(う~ん…5kgくらいはあるかな?…んでもって小石と思える大きさじゃないけど、取り敢えず手の平に乗ってるから大丈夫だよな…よし!)


見る人が見れば「事件現場に放置されていた人殺しでよく使われる少し大きめの血染めの石の大きさだよな、あれ…」と思わせるような代物であった。


「よし…続いて、石礫投射!」


小石生成で減ったMPは2であったが、石礫投射では倍の4を消費した。予想より多いMP消費に少しクラっとくるが、まだ踏ん張れる。そして…


どぴゅんっ!


…と、突風でも吹いたような音がして手元から浮いた小石?がノータイムで牛頭魔人へと飛んで…いや、転送されて行った。直後、「ぱぁんっ!」と衝撃波のような音が鳴り、当の魔人のどてっぱらに突き刺さ…貫通して大穴を開けたのであった…(当の小石?はぶつかった衝撃で粉々になったようで、跡形も残ってなかった)


「「え?…」」


後で聞いた所に依ると、討伐部位が頭の角だったのが幸いであった。牛頭魔人は胸部から腹にかけて、大きな穴が開き、下半身は地に落ちた。そして上半身も遅れて落ちたのだが…


「あ~…。取り敢えず素材とか討伐部位を回収しよか?」


恐らくはショックで念動力を解除してしまったのだろうが、驚いたのはショウ自身もなので特にいうことは無かった。カオルはその言葉に無言でコクコクと首肯して回収に向かうショウに付いて歩き出す。…そして、その状況を目撃していたシィナは声も出せずに唖然として尻もち突いたままでガクブルしていたのであった!…腰付近の地面の染みについては語らないでおこう…(書いてるじゃない!…と突っ込まれそうだがスルーw)


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鼓膜が破れていたので斧が小屋の傍に着弾しても音では驚かずに地響きで驚いてたシィナさんでした。そして、見たこともない魔法?でミノタ…牛頭魔人を圧倒し、その衝撃的な惨殺事故現場を見て失禁したのは内緒にして欲しかったのですが戻ってきた2人にばっちり見られてしまい、半泣きになって見なかったことにして貰ったとか何とか?w(幼児化して泣きながら「見ないで、見ないでぇ~!」と懇願していたシィナに保護欲が掻き立てられた…何て知りませんよ、えぇ、知りませんとも!(どげしっ!(がふ…))

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