07 害獣を発見!…そして害人も発見!?
ハイミト村の村長に依頼内容を聞いて、現場へ移動…でした。
━━━━━━━━━━━━━━━
- 村長管理畑の休憩小屋 -
「うーん…人が住むようにはできてなさそう…」
小屋に入ると道具置き場が主な作りであり、人間が寝て過ごすような作りではなかった。おざなりに置かれた椅子とテーブル、そして備え付けられた食器棚を見る限りは、休憩はできそうだが…
「さて、と…ちょっと集中するから静かにしててね?」
「「はぁ~い…」」
シィナがテーブルに椅子を引き寄せて座り、どこから取り出したのか水晶玉を設置して両手で包むような恰好で精神集中を始める。ぱっと見には占いを始めた占い師のようでもある。尤も、うねうねと手を動かすことなく、水晶玉の傍で手を浮かせたまま黙ってるのだが…
「ん…?」
暫くすると、水晶玉の中に映像らしきものが浮かび上がってくる。数秒すると別の映像が浮かび上がり、また別の映像へと移り変わっていく。
(これは…風の精霊を操って水晶玉に映してるのかな?…といっても当のシィナさんは目を瞑ってるんだけど見えてるのかなぁ?)
要はドローンを飛ばして映像を中継させて水晶玉に映して見てるのだろう…と推測したショウは、自分にも似てることができると後で便利そうだな…と思った。
〈偵察スキルを取得しました!〉
(え゛…まさか………)
ステータスボードを参照すると…
【技術】
---------------
固有:錬金術Lv1 武器精錬Lv2 道具精錬Lv1 薬精錬Lv1 鑑定Lv1 全言語読み書きLv1 偵察Lv1(NEW!)
汎用:盾術Lv1 剣術Lv1 対人戦闘術Lv1 土魔法Lv1 回復魔法Lv1
---------------
(うわぁ…生えてるし…つーか、だいぶ増えたなぁ…魔法もスキル扱いなのか…ん~…固有と汎用の区別って何だろうなぁ?)
取り敢えず「固有:」の文字をタップしてみると、詳細説明が小窓で現れる。
【
---------------
所有者が一人のみのスキル。但し、絶対ではなく全世界で数十人程度は所持している可能性はある。生まれながら所有していることが多いが、後天的に取得することは稀(絶対取得できない訳ではないが、所持者が同じ大陸に居ると取得できない確率が高い)
---------------
(ふむ…汎用は?)
【
---------------
所有者が数千人から数万人規模で存在するスキル。生まれながら所有している場合もあるが、該当スキルの性能や性質を覚えて練習していれば割と早く取得できる容易性もある。固有と違い、取得者が指導をすれば取得できる可能性が高まる
---------------
(ほほう…そんな違いが…ってことは、俺が取得できない場合は所持者が傍にいる可能性が高いってことかなぁ?)
とりあえず小窓を閉じて偵察スキルの詳細を開いて見る。
【偵察】
---------------
◎光学・魔力視・熱感知・超音波感知などの方法で偵察する使い魔を放ち、目前に設置された監視スクリーン(任意で表示・非表示が可能)にリアルタイムで偵察映像を映し出す
◎設定された危険度に応じて警告を発することも可能(敵意を持つ生物が現れたら警告する…などの設定が可能)
◎使い魔は偵察の難易度に応じ、小さな虫系(光学監視のみ)、鳥系(光学・魔力視)、蝙蝠系(超音波感知)、蛇系(熱感知)などなど、様々な動物を行使できる。また、機械型であるドローンも生成可能(レベル次第で超小型から大型まで様々)
◎監視範囲はスキルレベルに依存される(1毎に1kmの範囲拡大が可能)
---------------
(ほほう…ってことは、まだこの小屋近辺までがせいぜいか…スキルは使うことによって経験値が貯まってレベルが上がるんだっけ。なら使わないとなぁ…)
取り敢えず、俺も偵察スキルを実行して使ってみることにした。
・
・
(ん~…Lv1だとこんなもんか…)
目の前にはNotePCの液晶Display並みの大きさのスクリーンが投影されており、取り敢えず映像と音だけ情報が取れればいいかと鳥を生成してみた。鳥は小屋の中ではなく、いきなり外で現れたようで外の様子をスクリーンが映し出している。
(んじゃ、取り敢えず周囲を偵察してきて。全部で4羽いるのか…じゃあ四方を適当に偵察宜しく。害獣らしいのが居たら警告寄越してね?)
スクリーンは4分割されており、
「「「くるっくぅ~!」」」
と鳴いてから一斉に羽ばたいて飛び立った。どうやら鳩っぽい魔物が生成されたようだ。
(あ~…この世界の鳥って空飛ぶ強力な魔物に食われたりしないのかな?…まぁ行動範囲にそんなに強いのが居たら村もただじゃ済まないから居ないんだろうな。多分…)
取り敢えず、スクリーンの端っこに監視魔物の透明化の設定があったので
・
・
「ふわぁ~…あふ」
カオルが暇を持て余して大あくびをかました時、それは起こった。
どどぉぉおおんんっっ!!
「どわぁっ!?」
「え?なになに!?」
お互いに偵察に集中していたせいで、突然の轟音にどびっくりして狼狽えた声を上げる。シィナとショウだ。
「ん…敵?」
カオルがのそり、と立ち上がる。さっき、大あくびをかいた同一人物と思えない程のキリリッとした凛々しい顔立ちであった!w
「そこ、うるさい」
びしっ!と指弾を弾いてどこかの誰かに突っ込みを入れるカオル。とても痛ひ…じゃなくて!
「外、行くわよ!」
カオルは椅子から立ち上がるとドアを開けて飛び出して行った。最初は蹴り開けて行こうとしたが、後から修理やら面倒なことになると考えに至ったのか…なるべく静かに開けてから飛び出して行ったw
「あ~…わかった」
折角偵察スキルを行使して周囲を監視していたが無駄になったなぁと思いつつショウは後に続く。
「う~…精霊の行使でMPが心許ないなぁ…しくったぁ~…」
だが(MPの回復を待つ猶予も無いかぁ~)と、弓矢を背負うとシィナも後に続く。そして、外に出た瞬間に大気がビリビリと鳴り響く程の大音量の洗礼を受ける羽目に遭うのだった…
・
・
『る゛お゛お゛お゛お゛~~~!!!』
「きゃあああっっ!?」
短期間に2回目の咆哮を浴びる羽目に遭うシィナ。その繊細な耳の奥…鼓膜が破裂し、出血する…。何とか目を開けると音源であるモンスターは僅か10mと離れてない畑のど真ん中で咆哮を上げていた。
(え…あれはミノタウロス!?…何でこんな所に…)
記憶が正しければ普段は迷宮と呼ばれる洞窟系ダンジョンの奥深くで稀に遭遇する上級モンスターだ。とてもじゃないが、こんな
(ま…まさか…ね?)
だが、そんな危惧も何のその。目の前でショウがミノタウロスであろうモンスターを圧倒して倒してしまい、呆気に取られるシィナ。
「な…何なの、あの子は一体…」
カオルのサポートを受けながらも、ショウは圧倒的な攻撃力でミノタウロスを圧倒し、倒してしまっていた。
(う~ん…また鼓膜が破れちゃったわね…はぁ)
微妙に三半規管が機能しておらず、シィナは体をフラフラさせてその場にしゃがみ込む。そんな彼女を見たショウは「だ、大丈夫ですか、シィナさん!」…と心配させて、彼の回復魔法の世話になるのだった…
━━━━━━━━━━━━━━━
流れでシィナ視点で終わってしまいました。次話はショウ視点で戦闘シーンを描ければと思います。
タイトルは一応回収してます→ミノタウロス≒2足歩行の牛人間っぽいモンスター…なので、害獣でもあり、害人でもある!(ちょっw…強引過ぎるwww)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます