15 今後の方針とか

初依頼クリアして、初報酬ゲット!

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- ハイミト村のとある食堂にて… -


「ふぅ~、お腹一杯…」


よく考えたら異世界初の外食な訳で。味なんかは多少違いがあるものの、どちらかというと美味しかった…。村だけに田舎風という所か?


(でも、悪くはない…)


問題があるとすれば多少コスパが悪い所か。だが金は使ってなんぼ。貯め込むだけでは経済が回らないのだ…


「さて…宿に戻ったらお説教の続きよ?…こら、逃げない!」


咄嗟に逃走しようとするが、気配を察知したシィナさんに素早く首根っこを掴まれてずるずると宿へと引き摺られて行くしかなかった…。エンバートに視線を寄越すが「諦めろ」と首を振って返される…神は居ないのか!?


(あ~…エンバートも同じ経験してんのか…)


と、俺は諦めるしかないのだった…がっくし。



「さて…聞かせて貰いましょうか?」


「えっと…何をでしょうか?」


「惚けても意味無いわよ?…あの異様なまでに短い採取時間と有り得ない採取量と…」


「鑑定スキルです…その…」


余り深く突っ込まれてボロを出すのもアレなので取り敢えず正直に答えてみる。この世界では鑑定スキルはそれ程レアなスキルでもなく、覚えてる人も多くはないがそこそこの人数が居り珍しくはないと聞く。


「鑑定…そう、成程ね…」


黙り込むシィナさん。まずは一つ目はクリアといった所か。だが…


(ぽんぽんとスキルを覚えて行くって所は…納得しないだろうなぁ…。最初からそれだけ覚えてたってことにしておくべきか?…う~ん、何かいい理由とか思いつけばいいんだけどなぁ…)


自分のことながら振り回されてるよなぁ…と思いながら、考え込むシィナさんと…余り考えてなさそうな…というか寝てるよエンバートぉっ!…の2人を見ながら裁きを待つ罪人のような心境でじっとしていると…


「大体わかったわ…いえ、完全に理解してないけど…」


「はぁ…」


だろうなと思う。自分でも理解してないしな。


「いい?…ショウくん。余り自分の異常さをわかってないと思うけど…」


「え…あ、はい」


酷いいわれようだが仕方ないだろうなと思いつつ、その次の句を待つ。


「他人にはスキルのことはいわないこと。いい?…ハイミト村でも悪人ってのは居るんだから…いい触らしたりしたら悪用しようってのが湧いて来かねない…だから、私たち以外には喋らないこと。あなたのことを思っていってるんだから…その辺、理解してちょうだいね?」


うん、シィナさんとエンバートのことは…まぁ良くして貰ってる…よな?…まだたった1日の付き合いしかないけど…から、取り敢えず悪い人じゃないってことは感じている。心から信じられるかってーと、自信は無いが…


「あ、うん。わかった。無暗にいい触らさないように気を付けるよ。他には?」


掛け値なしに信じられる人になら…まぁいってもいいかなとは思うけど、今の所はこの2人限定か。依頼を受けたり報告を何度もしていれば、ギルド出張所の人たちには薄々バレそうな気がしないが…敢えていわなければ問題は無いだろうし?


「そうね…ありがと。信じてくれて…」


「がぁ~~~…ごぉ~~~…」


エンバート…台無しである。あ、シィナさんがエンバートの頭をぶん殴ってるし…最初に出会った時の印象ががらがらと崩れていくなぁ…まぁ、気軽に付き合えると思えばいいか…はぁ。



…という訳で、正式に俺はシィナさんとエンバートのパーティに入ることとなった。今更だが、パーティ名と構成はこんな感じだ。



パーティ名:「猛き探索者たち」

リーダー :故ガイル(シィナに更新予定)

メンバー :エンバート(前衛・槍)、シィナ(後衛・弓)、ショウ(未定)

PT資金 :角金貨31、金貨18、角銀貨27、銀貨51、角銅貨108、銅貨1107(円換算で51万8650円となる。もう少し稼いだら別の町なりへと拠点を移す予定だった…)



「猛き探索者たち、ですか…。冒険者じゃないんですか?」


「まぁ…色々と含みはあるんだけどね…発案者のリーダーが、ね…」


(聞く前に逝っちゃったってことだろうか?…まぁ、深くは突っ込むまい。それより俺の役割が未定って…まぁ、レベルも低いし主要な戦闘向けスキルも無いからなぁ…早くいえば雑用って所かな?)


「あ~…スキルが生えたつっても、まだ土魔法Lv1じゃ使いどころも難しいか…」


どちらかというとメインが錬金術師である俺は、戦闘には向いてなくて後方担当だろう。なら、何で日本刀振るって攻撃に出てるのか?…と問われると何ともいえないんだが…


「ま、まぁ…これから色々と模索して行けばいいですかね?…あはは…」


何となく、ジト目で見られている視線から顔を背けてそれらしいことをいう俺。本当にどうしろと…


「はぁ…もう、自重しなさいよ?…次、何かあったらフォロー仕切れるか自信ないわ…」


(いや、別に表立って目立つようなことは…あ、してたか…)


短時間に薬草採取の依頼をクリアとか、昨日今日とゴブリンとオークの討伐とか…リーダーが死去してるのに。まぁオークに関してはエンバートが倒してるんだけど…何故かコボルドには逃げられてるんだけどな!…あいつら逃げ足早過ぎだろ。


「あ~、はい。気を付けます」


(…とはいえ、思っただけで生えて来るスキル相手にどうしろと…。無我夢中で行動してたら気を付けるどころじゃない気もするし。なるべく自重しようとは思うけどさ…変な奴とか権力者に目を付けられたら…はぁ~面倒だな…)


だが、そんなことはお構いなしに事態は進行するものなのだった…。


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あれだけ倒してもレベルアップしてない?…流石に2から3にはまだ届かなかっただけでした(シィナとエンバートはショウに比べて高いレベルなので、当然当分はレベルアップは見込めないですし!)

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