14 事後報告

依頼をこなしてモンスター討伐を終えてギルド出張所に戻ってきました!

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- 尋問? -


「え~と…」


「「…」」


シィナさんたちはこちらをジィ~っと見詰め…いや、睨んでいる。


「やっぱり…いわないと駄目?」


「当たり前です!!」


ちなみにエンバートは訳がわからず睨んでたようだ。シィナさんが怒鳴ったら驚いてたし…


(困ったな…これについては俺も正確に把握してないんだが…)


これとは「必要と思っただけでスキルが生える」…体質?能力?…それともスキルなんだろうか?…とにかく、本来はあり得ないとのこと。さっきからシィナさんが口を酸っぱくしていってるが、


「普通なら習得しようものなら、速くても数週間。人や獲得するものによっては何年、何十年も掛かるのよ!」


…だそうだ。とはいうものの、俺は必要と思った途端に獲得してしまう。ステータスボードにはスキルとして現れてないから…


「体質なんだろうなぁ…」


思わず呟いた言葉に、


「「なにそれ羨ましい!!」」


と、二人に叫ばれました。仲いいな、おい。



- 薬草採取依頼&その他報酬受け取り(長いわ!) -


「はい、こちらが依頼達成の報酬となります」


薬草採取の依頼とゴブリン・オーク討伐報酬、そして近隣でのモンスター頻発の報告にも僅かだが報酬が出るという。合わせて銀貨31枚だが、多いのか少ないのかさっぱりわからん。


「内訳も説明しましょうか?」


受付嬢さんが俺の顔を覗き込んでから訊いてくる。そんなにわかり易いんだろうか?


「では、こちらをどうぞ」


そういいながら何かを書いた紙が差し出される。例のわら半紙みたいな低品質紙だ。手にとって見てみると、そこにはこう書かれていた。



【報酬内訳】

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受け取り…エンバート、シィナ、ショウ

薬草採取…50束(銀貨1枚×5)  …5

ゴブリン討伐…×4体(銀貨2枚×4)…8 13

オーク討伐…×3体(銀貨3枚×3) …9 21

各種素材売却益…諸々込みで銀貨9枚  30

頻発発生の報告報酬…銀貨1枚     31

報酬金合計…銀貨31枚

※死体解体費用は除外済み

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横に書いてある数字はそれぞれの報酬と上から足して算出された合計値だ。特に何の数字か書いてないので受付嬢さんが検算に書いたものなんだろう。殴り書きだし…


「ええと…」


なんとはなしにシィナさんに振り返る。


「…まぁそんなものでしょ」


「妥当だと思うぞ?」


エンバートからもお墨付きを貰った所で、


「わかりました。有り難く頂きます」


それだけいうと、銀貨が詰められた袋を受け取った。丁度500円玉が31枚と袋だけの重さが持った手に掛かる。そう思うと余り重くない気もするが…


(これが命を賭けて得られた報酬と考えると、安いよなぁ…)


500円×31=1万5千500円である。いや、日本円に直しても等価値とは限らないが…。薬草採取に限っては2500円だがあれはものの30分で採取し終えたので時給に直せば時給5千円。割りはいいとは思う。そう言えば、この銀貨ってどれくらいの価値があるものなんだろう?



- 色々チートでごめんなさい? -


「あり得ない!」


「え?」


「だから…あり得ないのよ!」


ギルド出張所から宿に戻ってからの、シィナさんの開口一番の台詞だ。どれに対しての「あり得ない」なのか不明な為、呆けるしかないのだが…


「まず、薬草採取!」


「あ、はい」


ずい!っとテーブルに覆い被せるようにして俺を見ながら指を一本おっ立てるシィナさん。ちょっとお下品ですよ?(中指をおっ立ててる訳ではないが)


「あんな短時間であの量、しかも全く別の物が混ざらないなんてことはないの!」


「はぁ…」


(鑑定スキル使いながらだと間違える方が難しいもんな…。ある程度混ぜた方がよ良かったかな?)


実際には錬金術で使えそうな素材は片っ端から麻袋に放り込んでおり、いわれて取り出したのは薬草のみだったんだが…


「次!」


「…はい」


矢張やはりスキルについて突っ込まれるのかな?)


そう思いながら構えていると、報酬の分配に関しての話だった。純粋に自分の報酬とわかる分を各々に分け、報告の報酬はパーティー共有資金としてプールするそうだ。


「じゃあ、これだけ入れといてくれ」


エンバートは受け取った分から3割程をシィナさんに渡している。シィナさんも、


「私の分は今回は無いのよね…」


と、受け取った銀貨を見ながら呟きながら、見た目キューブ状の四角い箱に銀貨を差し入れていた。特に銀貨が入る隙間も無いのに…どんな仕組みなんだろう?


「貯金箱?」


思い当たる名前を何とはなしに呟くと、


「ん~まぁそんなもんだ」


と、エンバートが笑う。シィナさんも薄い笑顔を浮かべているので、間違いではないんだろう。


「あの、だったら…」


手にしているのはエンバートが受け取った報酬以外の、銀貨16枚だ。3割というなら4.8枚…四捨五入で5枚。


(銀貨の下の銅貨とかないんだろうか?)


…有りました。俺はシィナさんに頭を撫でられながら、「子供はそんなこと、気にしなくていいのに…」といいながらも、「有り難う…」と受け取ってくれた。


(報酬が銀貨16枚。パーティー共有資金に銀貨4枚と銅貨8枚入れて残り銀貨11枚銅貨2枚か…面倒だから5600円でいいかな…いや、やっぱ止めとくか。換算が面倒だ)


後で聞いた所、この世界の貨幣価値は銀貨と銅貨は大体俺の考えてた通りだったようだ。銀貨が500円、銅貨が1/10の50円。他にも色々と説明を受けた所、こんな感じだった。


【ハイミト村で流通している貨幣】

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 素材 角貨 丸貨 ()内は日本円相当額

 石貨 -- 1円 ※穴開き貨幣

 鉄貨 10円 5円 ※丸貨は穴開き貨幣

 銅貨 100円 50円 ※丸貨は穴開き貨幣

 銀貨 1000円 500円

 金貨 1万円 5千円

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白金貨 100万円 50万円 ※ほぼ流通無し

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※基本的に説明が無ければ丸いコインの形

※ハイミト村では金貨までしか流通してない

※上位貨幣は下位貨幣の10倍の価値、同金属の角貨幣は丸貨幣の2倍の価値となる(白金貨のみ特殊で下位貨幣の100倍となっている)

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白金貨はミスリルで作られている。一般人は見ることすら叶わず一生を終えることも珍しくない。また、大商人が重要な大取引で使う,国家間での取引で使う,功績を上げた臣下に対する褒賞など、一般的に流通することは滅多に無い

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(この世界の物価とかも気になるけど…、また今度かな?)


既に空は夕焼けで赤くなっていて腹も減ったし、エンバートがどこか屋台でもいいから飯にしよう!っていってるし…


「わかった」


俺は今日の報酬で皆に夕食を奢ろうかなと思ったが、シィナさんに止められた。どうやら銀貨10枚程度ではエンバートの腹は満たされないようだ。


「どんだけ底無しなんだよ!」


獣人の胃袋恐るべし!


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初めてのまとまった報酬とパーティーに貢献でした(資金的な意味で)エンバートは今回の報酬を全消費して数軒の屋台のはしごをしています(勿論パーティーメンバーにも驕ってたり)漢らしく太っ腹ですね!(性別は女だけど)


【本日の収支報告】

・薬草採取+討伐報酬で5600円の収入!(銀貨11枚銅貨2枚)


最初の遭遇戦の報酬はありません。現地に戻った所で時間が経ち過ぎているので死体は無いと判断して回収してないからです(ドロップ相当品である斧などはショウが錬金術で加工しているので、そもそも残ってません)

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