13 意外な援軍…?

またもや突発的なモンスターの遭遇戦に突入だ!…え?もう突入済みだ?

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- 猛る咆哮! -


「うおぉぉぉおおおっ!!!」


背後から轟く野太い雄叫びが鼓膜を震わせ…いや、破るかと思わせる声量で響き渡り、その雄叫びを聞いた突進中のオークが足を止める程だといえば声の大きさがわかるだろう。


「あ…」


ふと初心者冒険者たちを見ると、耐え切れなかったのか全員倒れ伏していた。所謂気絶状態という奴だ。ここからは見えないが落とし穴に落ちた生き残りのゴブリンたちも気絶しているだろう。


「つ…」


シィナさんが耳を押さえて痛みを堪えている。エルフ族なら耳が人族よりいいと聞く。若しかして鼓膜が破裂したのだろうか?…なんて思っていると、


「エンバート!…近くで雄叫びは止めろって何度もいってるでしょ!!」


(あ、うん。何となくそうじゃないかと思ってたけど、あの人だったか…)


背後を振り向くと、彼の獣人エンバートが申し訳なさそうな表情を浮かべて走って来ていた。シィナさんに目を向けると…彼女は両耳穴から血を流していた。どう見ても鼓膜破裂だ。恐らく、今は何を話しても殆ど聞こえないんじゃないかな…って、俺も両耳から血が流れていることに気付く。道理でシィナさんの声が遠いと思ったよ…


(う~ん、これじゃ不便だよなぁ。殆ど聞こえない…幸いといっちゃなんだが痛みは余り感じられないが…)


〈回復魔法を取得しました!〉


(あ~、うん…。も、もう驚かないぞ…)


俺はステータスボードを開いて回復魔法Lv1をタップして詳細説明を表示させて行使する。幸い、この程度の怪我なら1MPで済むようでホッとした。


「何?」


シィナさんの肩を叩いて振り向かせる。説明しても今は聞き取り辛いだろうし、黙って両手を両耳に被せて魔法を行使する。


小回復ヒール!)


どうせ回復したらしたで説明が必要になるだろうし、その際にこちらも聞こえないと不便だろうと思い、すぐに自分の耳も回復させる。


(何しろ、現在進行形で絶賛問い詰め中だしな…殆ど聞こえないけど)


苦笑いしながら、俺は自分の耳にも小回復ヒールを行使する。が、MP不足を理由に遅らせれば良かったなと少々後悔した(回復魔法を覚えてなかったのにいきなり使えるようになった理由について…だな)オーク?…駆けつけたエンバートが自慢の長槍であっさり討伐してたよ。あの雄叫びには抵抗できなかった場合は麻痺の効果を与えるらしくて、固まってたので楽勝だったとか。


(でも、味方にも影響あるとか…はた迷惑なスキルだよな?鼓膜破れちゃうし、難聴のデバフとかデメリットが多過ぎるだろう…)


ちなみに、初心者冒険者たちは効果範囲外にいたせいか気絶はしてるものの、鼓膜が破れるまでには至らなかった模様。本人たちにとっては不幸中の幸いだろう。もし、まともに聞いていた場合…鼓膜が破れるどころか神経系に影響が出て半身だか全身不随に至っていた可能性があるとはシィナさんとエンバート本人の談だ。なにそれこわい…


(っていうか、そんな危ないスキルを至近距離でぶっぱなすエンバートの神経を疑うぜ!!)



「すまん…ついうっかり…てへ♪」


「ついうっかりもてへ♪もありません!!」


シィナさんが物凄い剣幕でエンバートを叱っている。可愛く誤魔化してるつもりのようだが、ゴツイ体と強面の顔面の為に全然可愛くは見えない。一応性別が女性らしいが普段の言動と荒っぽい行動で、どー見ても男にしか見えないんだよな…エンバート、ガサツだし。あ…初心者冒険者たちは気絶してるだけだったんで、数分経過したら気が付いた模様。念の為、村に戻って貰るようお願いしておいた。ゴブリンやオークたちの増援が来ないとも限らないし、ね。


「それはいいんだが…俺も村に戻った方がいいよな?…ほら、一応、初心者冒険者だし?」


「「え?…誰が?」」


「ひでぇ…まぁいいや。依頼の薬草は規定以上集め終わってるし」


取り敢えず、ゴブリンとオークの死体を収納して…さっき作った麻袋にだけど…俺はとっとと歩き出す。


「ちょい待て」


エンバートが肩をむんずと掴んでストップを掛ける。


「何だよ…?」


首だけ巡らしてエンバートを見ると、シィナさんと一緒に睨んでいる。ん~、誤魔化しきれないか?…面倒だな。


「…取り敢えず、一緒に戻ろう」


「えぇ…」


まぁそうだよな。ギルドに報告に戻る為、俺たちは全員で帰路につく。その後の面倒事を考えるとすっごく気が重いけど…な。


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薬草採取の依頼が、急遽発生したモンスターの討伐にすり替わって味方の誤爆により負傷した(鼓膜が)


【本日の取得スキル】

・回復魔法Lv1とLv1で使えるスキルを取得しました!(作中では使用可能回復魔法スキルの確認描写なし)

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