12 モンスターとの遭遇(2回目)

薬草採取の依頼中にイベント(ランダムエンカウント)が開始されました!

━━━━━━━━━━━━━━━


- シィナ視点 -


「助けてくれ~っ!!」


「あなたたち、無事ですかっ!?」


見ればまだ成人になりたての男女が数名、ゴブリンとオークに襲われていた。私は背嚢から弓矢を取り出し矢筒を腰に装備すると、攻撃しても矢が当たらない位置取りをしてから放ちました。


『ぐげぇっ!!』


最後尾の女性冒険者を攻撃しようとしていたゴブリンは、眉間を矢で射抜かれてもんどり打って倒れます。


(まずは1体!)


続けてもう一射。今度は別のゴブリンを射抜いて倒します。


(後は…はっ!?)


気付けば、何かがぶんぶんと音を立てて接近してきます。


(あれは…!?)


あれはそう。昨日も見た…投てきされた斧です。サイズが大き過ぎて大斧に見えますが、オークの放った手斧です!…そして、それは私の頭をかち割ろうと…


ギィィィンッ!!


「え…?」


信じられないことに目の前に何者かが割り込んで、投げ放たれたオークの手斧を弾き飛ばしたのです。


- ショウ視点 -


「ふぅ~…間一髪だったな!」


後1~2秒遅ければシィナさんは頭をかち割られて熟れたザクロのような開きになっていたかも知れない…そう思うと、今更だが手に震えが出る。無論、怖気づいて震えてるのではなく、怒りに満ちた震えだが…


「な…」


後ろでシィナさんが声をあげる。


「私はギルドに応援をといったのに、何で…」


そういうと思った。色々思う所はあるが俺は冷静に応じる。


「既に応援は呼びました…今は彼らの援護を」


それだけいうと、未だにゴブリンらに追われている男女4人の初心者らしき冒険者を逃がそうと動く。自分も同じ初心者冒険者の範疇だがそんなことは頭から吹き飛んでいた。


(…あいつらよりゴブリンの方が速いとか…って、徐々に追いつきかけてるし!)


何か有効な手段は…と考えていると、


〈土魔法スキルを取得しました〉


と、唐突にメッセージが浮かび上がり、ステータスボードも続いて表示される。


性能諸元ステータス表

---------------

名前:ショウ(男)

職業:冒険者(初心者)

Lv: 2

SP: 0

HP:11/11

MP:11/11

頑強:11 筋力:10

精神:13 知識:15

器用:10 運 :21

---------------

【技術】

固有:錬金術Lv1 武器精錬Lv2(UP!) 道具精錬Lv1 薬精錬Lv1 鑑定Lv1 全言語読み書きLv1

汎用:盾術Lv1(NEW!) 剣術Lv1(NEW!) 対人戦闘術Lv1(NEW!) 土魔法Lv1(NEW!)

---------------

【装備】

出刃包丁(鞘) 日本刀(鞘) ジャージ上下 運動靴 荷車 拡張済の麻袋

---------------



土魔法といわれても何が使えるかわからない。物は試しと土魔法の文字の所をタップしてみる。すると…


土魔法Lv1…小石生成 石礫投射 穴開け 土埃生成


のように文字が追加された。どうやら土魔法Lv1で使える魔法の一覧のようだ。


(この状況で使えそうなのは…これだな)


ステータスボードに表示されている魔法を念じてみる。


(スネア!…じゃなくて、穴開け!)


すると、すぐ目の前の地面がぽこっと開いただけだった。


「あ、あれ?…」


使い方が不味かったのか、1m程度離れた地面に片足が入る程度の小穴が開いただけだった…


(むう、使用説明書とか無いのか?)


ステータスのMPが更に減って、残り10となっていた。先程は気にならなかったが、MPは回数制なのかスキルを使用する度に1減っている。


(くそ…てことは残り回数10回か…)


取り敢えず、説明が出て来ないかと穴開けの文字をタップする。すると、


『穴開け…地面や壁に穴を開ける。何も指定しなかった場合は目前1mの地面に片足が嵌る程度の小穴を開ける。任意の地点に開ける場合は、穴を開ける場所と大きさ・深さを設定することができる。MP1消費の範囲は人間の男性1人を落とす穴を開ける程度。それより大きな穴を開けるには、先の大きさの穴xMPとなる。10人分の人間男性を落とす穴を開けたければ、10MPを消費する必要がある』


…と、やたらめったら詳しい使用説明書が表示された。これも鑑定スキルの影響だろうか?


(考えるのは後にしよう…開ける位置は…あの辺に。開ける大きさは…横3人分で…相手はゴブリンで子供サイズだし、2MPくらいでいいか?…穴開け!)


タイミングを見計らい、どたどたと走る冒険者の走る後ろに落とし穴を構築する。ゴブリンが跳んでも渡り切れない程度の幅と這い上がれないようにツルツルでこん棒程度では崩せない頑丈さを兼ね備えた落とし穴だ。


〈ギャ!?…ギャァァァアアア…〉


ここまでは聞こえないが、穴の底でも叫んでいるのだろう。上手くいけば1体目は2体目に踏みつけられて絶命してるかも知れない。


「え?…今の、魔法よね…ショウくん、いつの間に…」


背後で呆けるシィナさんの相手はせずに、こちらへと向かって来るオークの対処だ。弾いた斧を奪われると厄介だと思った俺は、拾いに向かい、取り敢えず分解して金属素材に変換しておく。後で何か作る時に利用できるだろうし。


〈グルル…グォオオオッ!〉


オークが咆哮を上げて突進してくる。1体は斧を投てきした後なので無手だ。背後からこちらへ投てきしようと構えている。


「っ!…させない!!」


シィナさんが再び弓矢を構えて後方のオークに狙いを付けている。だが、その時…シィナさんの耳に。俺の耳にもとんでもない大声が轟き、虚を突かれるのだった!


━━━━━━━━━━━━━━━

エンバートが目にしたものは…!?


【本日の取得スキル】

・土魔法Lv1とLv1で使えるスキルを取得しました!(魔法は取得したLvの各種魔法を自動的に取得して使えるようになります。ですが、何も考えないで行使するとデフォルトの設定での発動になるので、使いたい魔法は詳細を確認するようにしましょう!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る