10 冒険者登録しよう! その3
冒険者登録に来てみたら、ギルド職員のお姉さんと戦うことになりました(ざっくりし過ぎ!)
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- 冒険者適性試験・その2 -
「ルールはわかったかな?」
「え…はい。でも…」
「じゃ、行くわね?」
冒険者登録しに来たら、何故かギルド職員のお姉さんと戦うことになった件…
(…つーか、体力測定は何処行ったんだ!?)
そんな風に内心慌ててると、
「何ぼやぼやしてるの? 来るわよ!」
と、シィナさんにどやされる俺だった。
「くっ…!」
がいぃぃん…っ
木製の盾と剣先の割に、いい音で響き渡る。結構硬い素材なんだろうか?
「ほらほら、盾でガードしてるだけじゃ実力を測れないわよっ?」
がんがんと景気よく響き渡る音と共に、盾の表面が削られて行く。どうやらこちらの盾より、あちらの刺突剣の剣先の木材の方がより頑丈な素材でできているらしい。右に左にと剣を受けていると、表面の木材が削れて削りかすが飛び散っている。
(鑑定を用いないで手に取って扱い易さだけを優先して選んだ結果がこれか…。ていうか、ギルド職員なのに凄腕なんだが…一体何者なんだ?)
とか思っている内に盾の扱い方が徐々に上がっているのか、真芯で受け止めたり弾けるようになってきた。徐々に余裕ができているのがわかる。
(おお?…これなら反撃することができるかな?…よっと!)
攻撃の隙間を狙って木剣を突き出してみる。振り回すのは素人だけに隙を見せ兼ねないので一番隙の無い突きが有効だろう。
「くっ!?」
盾で大きく弾いた隙を狙ったのが良かったのか、素人剣術でも怯ませることができたようだ。攻撃を受けることに専念して、こちらが反撃に出て来ないと思わせたのも良かったかも知れない。
(ん?)
開始してから10分程経過しており、休みなく攻撃を続けていた彼女はスタミナ切れを起こしかけているようで、少しだけ息が荒くなっている。
(チャンスか?)
「たぁっ!!」
円盾を突きに合わせて前に出し、そのまま覆い被せるように突進していく。所謂、シールドチャージとかシールドアタックのような反撃だ。
「ぐっ…きゃあっ!?」
足にきていたのか、そのままどすん!と尻もちをついてしまうギルド職員の彼女。俺は、そのまま喉元へと木剣の剣先を突き付ける。
「え~っと、勝負あり…ですか?」
これは唯の冒険者登録試験の1つであるし、これ以上はやらなくてもいいと思う。ので、一応訊いてみる。女性に怪我を負わせる趣味も無いし…
(…にしても、こりゃ盾術とか剣術が生えてそうだな。後で確認してみるか…)
とか思いながら待っていると、
「はぁ、ふぅ…あ、あはは…負けちゃったわね。合格よ、ショウくん」
息を整えた後、ギルド職員の女性は試験合格をいい渡すのだった。俺は剣をおろし脇に挟んだ後、右手を差しだして彼女を引き起こす。
「はぁ~…冒険者登録試験なんて久しぶりだったからなぁ~。腕が
立ち上がった後、体をぱきぽきと鳴らしながら捻り、
「じゃあ、これお願いね?報告に行ってくるから、後からカウンターまで来てね~」
と、たたっと走り去っていった。
「元気な人ですねぇ…」
「まぁね。じゃ、片付けてらっしゃい?…カウンター前で待ってるから」
シィナさんはそういうと、ギルド職員の彼女を追いかけて行った。
「はぁ…体力測定はどうなったんだろうな…とはいえ、試合?をやったことでそれも兼ねてたんかな…はぁ疲れた」
散々攻撃を受けた丸盾は表面がガリガリに削れていて、後2~3分も受けていたら割れてたかも?ってなくらいボロボロだった。一応、鉄で補強はされていたが木材の部分だけを狙って攻撃をしていたらしく薄くなっていた。
「殆ど動いてなかったからかも知れないけど、恐ろしい程の精度だな…」
後半は狙って攻撃を弾いていたが、鉄の部分は余り傷付いていない。もっと小さな…バックラーのような小型盾だったら、破壊されていたかも知れない。
「ただの試験で大怪我はノーサンキューだよ…って、片付けないとな」
壊れかけの丸盾は修理の必要は無いんだろうか?…とは思ったが、取り敢えず剣と盾を木箱に仕舞い込む。そして、慌ててカウンター前へと急ぐのだった。
- 冒険者登録完了 -
「「「おめでとぉ~!」」」
受付嬢、ギルド職員、シィナさんの3人からお祝いの言葉を受け取っていた。いや、有難いがそこまで声を大にしていわなくても…恥ずかしいです。
「見事に合格です!…では、これをどうぞ!」
受付嬢から冒険者の証であるギルドカードを手渡される。白色で黒い文字が刻まれていた。
「ランクF冒険者証…」
それ以外には名前しか刻まれてない。裏側を見ると、使い方の説明が書かれている。
「あぁ、そうそう。表でも裏でもいいから、魔力を浸透させて。血液を一滴垂らす方がいいんだけど、交換する度に痛い思いをするのはヤダ!って声が多くてね。魔力でも個人登録をできるようになってるの」
要は、他人がカードを悪用しないようにする為と、ギルドで使用する為の処置らしい。俺は魔力の浸透ってどうやるのか?…と困惑したが、取り敢えず「魔力浸透ぉ~」と念じていたらできたようで、一瞬虹色に輝いたと思ったら元の色に戻った。
「はい!登録するからちょっと貸してね?」
いわれるままにギルドカードを受付嬢に渡すと、彼女はカウンターの見えない部分に置いて何やら作業を始めた。
「魔力浸透させたギルドカードを、ギルドのとある装置に登録してるのよ。これが終われば、各種手続きができるようになるから」
シィナさんが俺の耳に囁く。いや、普通に話してくれればいいんですが…少しこそばゆいです…
「はい、処置が完了しました。では、今後とも宜しく!」
にこやかに何処かで聞いた台詞を吐いて、受付嬢がギルドカードを返却してきた。
(う~む…悪魔、じゃないよな?…)
などと思いつつ、
「宜しくお願いします」
と、頭を下げて宜しくする俺。
「じゃ、仕事に戻るね。じゃぁね!」
ギルド職員の女性はそれだけいうと、奥へと引っ込んでいった。
(いや、さっきの試験も仕事だよな?…)
ストレス発散でいい運動したぁ~、みたいな表情で去って行く彼女に顔をヒクつかせていると、
「じゃあ、何か依頼でも受けてみる? 初仕事だから、あんまりキツイのは選ばなくて大丈夫、だよ?」
と、シィナさんが肩に手を置きながらいってくる。ずるずると掲示板前まで誘導されながら、
「え…結構疲れてるんだけど…依頼受けないとダメですか?」
と汗をかきつつ、シィナさんの顔を見上げる。
「そうね…薬草の採取とかどうかしら?」
(聞いちゃいねぇっ!?)
今日は休むことなく依頼を受けるのかぁ~!?…と、がっくりとする俺だった…
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エンバートはその頃、ガイルの死亡関係で死にそうになりながらも書類仕事をやらされていました(事実確認やら何やら色々)。そして、その場所は出張所ではなく、夜を徹して移動した先の町の役所の中だったりします(劇中で書く予定はありません!w)
・ショウの予想通り、盾術と剣術が生えてます。他には対人戦闘術なんかも生えてます(タイマン、若しくは1対多のあらゆる行動を補助するスキルとなる)
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