07 レベルアップとステータスボード

レベルアップしてました。

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「おめでとう!…で、構わなければステータスを教えてくれない?…アドバイスできることもあるかと思うのだけど?」


「えぇっ!?…こーゆーのって秘匿するものじゃ?」


冒険者なら秘密にしそうなものじゃないか?…と思い、拒否すると…


「冒険者にもなってない常識知らずにアドバイスするのに、基礎ステータスくらい見ないでどうアドバイスしろって言うの?」


と、御尤もな意見を述べられたので仕方なく教えることに。あぁ、スキル…この技術って書かれてる所かな?…は言わなくていいと。はいはい。渡された紙…わら半紙みたいな余り上質じゃない紙だ…に渡されたペンを使って書く。こちらもインクを付けて書くタイプの年代物のペンだ。よく漫画家が使う丸ペンに似てるかな?


性能諸元ステータス表

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名前:ショウ(男)

Lv: 2

HP:11/11

MP:13/13

頑強:11 筋力:10

精神:13 知識:15

器用:10 運 :21

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「こんな感じです」


書いたステータスはさっきSPを割り振った後の物だ。職業は聞かれても説明に困るので書いてない。どうせ冒険者になれば上書きされるだろうと思うし。改めて見ると、簡素なステータス表だなと思う。今はジャージの上下と運動靴しか身に着けてないし、ステータスに現れる程じゃないのだろう。防御力が全く増えてないように見える。全裸になれば頑強が1くらい減るのかも知れないけど、美貌のエルフさまの目前でそんな変態ちっくな行為は控えたい…って、俺はどこぞの変態仮面さんかっ!?(クロスアウッ…とか言ったりはしないぞ!絶対にだっ!!)


「Lv2か…まぁ、こんなものかな?…あ、SPはもう割り振っちゃったの?」


「え?…えぇ、ちょっと体力と腕力に不安があったので、頑強と筋力に…」


割り振った直後に体力が漲り腕力にも不安が無くなった為、この2つにSPを割り振ったことに後悔は無いが、勝手に割り振ったのは不味かったか?…と思わないでもない。


「そうね。冒険者は体力勝負な所もあるし、悪くない選択だと思うわ。魔法は…いえ、そこは聞かない方がいいかな。まだパーティを組むと決まった訳じゃないものね…」


うーん、攻撃魔法を1つも覚えてないから、パーティを組んでもモンスターが襲って来て役に立つか?…と問われれば直接的には役立たずだろう。錬金術と武器精錬や薬精錬があるから、間接的には役立つだろうが…。


(どちらかってーと裏方的なスキルだよな、これ…。村に引き籠ってアイテムや武器を作ってこそ役には立つだろうけど…)


だが、既存の薬師や鍛冶屋のお株を奪いかねない。もっと人口の多い街なら余り目立たないかも知れないが、この村で商売を始めようものなら人数の少ない村だ。煙たがられて追い出されるだけだろう…


(やっぱりある程度の資金を稼いだら何処か別の町か街に移動した方が賢明かな?…となれば、武器防具や薬は自分用に作って安定した狩りが出来るようになって、資金が一定額貯まったら村を出て行くって線でいくか…)


今後の指針がある程度決まった俺は俯いていた顔を上げて…シィナさんと視線がぶつかって仰け反った。


「ぶはっ!?…し、ししし、シィナさん、近い近い!!」


「ひゃっ、びっくりした!…って、いきなり顔上げないでよ。また考え込んでたからどうしたのかな?って覗き込もうとしたらこれだし…」


いや、子供扱いして気軽に接近するからそうなる訳で…


「あ、えーと、ごめんなさい。えっとですね…」


取り敢えず今後の指針を決めたってことで、こちらの世界の先輩にお伺いを立てることにする。独断専行して失敗したら目も当てられないことになるのは良くあることだし…



「うん、まぁいいんじゃない?」


軽っ!…というか、冒険者になりたてならばその選択は悪くはないらしい。体が育つまでは薬草の採取や村の中でのお使いクエストをこなす者も多いらしい。それは別の町でも似た様なものだとか…


「で、これから冒険者ギルドに行って登録するんでしょ?」


「えぇ、まぁそうなる、かな?」


「何で疑問形?」


シィナさんに突っ込まれる。朝食は食べたんだけど数時間お勉強の時間を挟んだことで、もう昼前だ。そう意識した途端に、腹が鳴った。


「あははw…もうこんな時間か。じゃあお昼食べてから行こっか?」


「あ、はい…」


と返事したら、既にシィナさんは部屋に居らず。ドアが閉じられようとしていただけだった。


「早っ…エルフって言うよりシルフみたいな速さだな…」


何となくそう呟いていたが、契約している妖精は風属性のシルフだと後で聞いた。成程と思ったが…


(そんな重要なこと、パーティの一員でもない俺に話していいんだろうか?)


と思ったが、「あ、しまった…他の人には内緒だからね?絶対だよ!」…と念を押された。この美貌のエルフシィナさんは結構おっちょこちょいなんだなと親近感を覚えたのだが一応内緒にしておいた。突っ込んだら負けだと思ったから…



「じゃ、腹ごなしも済んだし、食器も片付けたし」


食器を運んだのは俺じゃなくてシィナさんだ。食器は木製だから落としても割ったりしないと思うんだが…何だかえらい子供扱いされてる気がする。それとも、天涯孤独の身の上だから腫物扱いってだけか?


「はい。冒険者ギルド…の出張所に行きましょう?」


「…何でそこで疑問形なの?」


「さぁ?」


そう答えると少し困ったような顔をして、俺の手を引くシィナさん。外へと続くドアをくぐると空は快晴で、突き抜けるような青が広がっていた。


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舞台は冬なのか空も高く風は冷たく。でも、雪は降ってないようです。

※執筆当初は2021年の1月だったので劇中も寒い時期としてたようです(大抵、執筆時期と同じ季節感で書いてると思うので)

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