第2話 ミリオネアHL-SLC凛牙103編

 いや~。

 愛機、ミリオネアHL-SLC凛牙103がついに逝っちまってね~。

 で、メーカーでの修理&オーバーホールできなくなっちまったのよ。


 自分的には新しい!とまでは言わないにしても、決して古くない機種と思っていただけに、このような事態が起こってしまうとね~。

 強制的に古いって認めなくちゃいけなくなるよね。


 な~んて、いかにも突発的な事態風に言ってみましたが、そもそもこのリール、「カタログ落ちして5年」をはるかに超えてしまっている。←デビューはインプレッションの日付から見て2005年とかそんな感じだと思う。それから数年売るから落ちるのは2010年とか?それから5年だから2015年とか?

 だから、こうなることは分かり過ぎる程分かっていたのよね。


 と、ここで。

 上に書いた「カタログ落ちして5年」とは何ぞや?っつーハナシなんだけど、これってメーカーがメンテや修理やってくれる期間のことなんだよね。

 なんで5年しかやってくれないのかというと、それは会社の事情。「在庫はなるべく持たない」という方針が原因なのよ。


 この話はかなり昔に釣具屋の店員から聞いていて、凛牙の最後のメンテは5年ギリギリっつータイミングで出し、調子をよくしたところでサービス終了。それからメイン機としてガッツリ使っていた。で、去年の秋、ついに逝っちまったってワケ。

 リベリオン6101MRBとゆーバーサタイルに使えるサオを購入したのをきっかけに、「これからはこのセットで巻きもやるぜ!」と意気込んだ矢先の出来事やったよね~。プラグ使いだして何回目かの釣行で、負荷が掛かった時に異音&振動するようになっちまった。

 でもこれ、もしかしたらもっと早い段階で出ていたのかもと思わなくもない。というのもこれまで凛牙ってほぼ撃ちでしか使ってなかったのよね。撃ちって断続的にしか巻かないし、リトリーブ中負荷もそんなにかからないもんで気付けなかったっつーのもあるのかも。ただ、ファイト時はさらに負荷かかるはずやけどな。この時は滑らかに巻けていたもんな。

 とか言ってみてもですよ。

 これまでやってもらった凛牙のメンテってギヤの支持部のベアリング交換ほとんどなくてね。ほぼグリスアップだけ(一回ドライブギヤとピニオンギヤ交換したかもだけど)だったのよ。

 それ考えるとよくぞここまで持ちこたえてくれた!って感じになるよね。

 こんな事態になって頑丈さを十分実感できてしまったとゆー…とりあえず、お疲れ様&ありがとう、っちゆーのが本音かな。



 さて、ここからは修理しよう!ってことになるんだけど、ちょい前「ミリオネアCTSV」って機種がデビューしてね。これが昔のままのミリオネアの形なのよ。変わったところはというとスプール径と色。細かなトコロはいろいろあるけど見た目ほぼ一緒。

 ならば!

 ギヤケースの中は同じだと期待するよね?だから、ダメモトで買った店に持って行き、事情を話すと快くOK。

 メーカー送りしてくれたまではよかったんだけど…一カ月以上待っても音沙汰なし。


 どげんしたんかな?受け付け番号分かるし、一回SLPワークスに電話してみよっかな?


 なぁ~んてこと考えていたところで連絡が。


 ほらね。やっぱ修理できたやろ。結局こげなもんっちゃね~。


 根拠のないプラス思考でワクワクしながら届いたメールを開いてみると、


「修理不能」


 だそうで…。

 作業内容の欄を読んでみると、


「部品が無いのねんのねんのねん。許してちょんまげ。」


 みたいなことが書いてある。

 戻ってきたのを受け取ると、スプールベアリングすら入れてくれてない。

 ある程度は予想していたけど…せめて純正のスプールベアリングぐらいは装着してほしかったかな。これって現行機種にも同じもん使用しているのあるはずやもんね。


 とはいえ、できないものはできないからしょーがない。


 こうなってくると、修理専門業者を利用するしかなさそう。


 でもその前に。

 ダメになってそうな個所ってこれまでの経験上、ある程度は分かんのよね。

 巻き取り時、負荷がかかると出る異音って、多分だけどピニオンギヤ支えている両端のベアリングか、ギヤシャフトの端と中間を支えるベアリングが原因。

 よっぽどのことが無い限り、他のトコロ壊れないもんね。

 まぁ、クラッチが壊れるってハナシはちょいちょい聞くけど、今回は明らかにそれじゃないし。

 これら4つのベアリングなら自分で交換できる。分解して新品に交換したうえで、なおかつ治らなかった時、改めて業者に頼むことにしよう。


 そうと決まれば早速分解だぁ!


 とゆーワケで、ここからは分解&組み立てシーンですよ~ん。


 まずはレフトサイドプレートのリングを反時計回りに回して緩め、外す。


 次にスプールを抜く。


 ここまでは、スプールベアリングに注油する時と全く同じ作業で、分解とは言いませ~ん。

 これから先が本格的な分解でございます。


 まずはライトサイドプレート側を分解してゆきますよん。


 ・最初に「ハンドル」を外しますぞ。

「ハンドルロックスクリュー」とゆービスをプラスドライバーで緩めたら、「ハンドルロックプレート」が外れる。

 次に専用工具(10mmのソケットとかスパナでもよい)で「ハンドルナット」を緩める。

 するとハンドルが外れるんだよぅ。


・「スタードラグ」を緩める方向に回して外す。この時両端に「ハンドルワッシャー」(マイナーチェンジでワッシャーじゃなくなっている模様。カップ状のワッシャーっぽいヤツが入っている)と「ハンドルベアリングワッシャー(B)」という結構小さめのパーツ入っているから無くさないよう注意だよ。


・「ハンドルボールベアリング」を外す。これ、一つ目の異音の原因となる部分ね。


・「ハンドルベアリングワッシャー(A)」と、「ドラグワッシャー」×2を「ギヤシャフト」から抜く。


・「ライトサイドリングスクリュー(A)、(B)」を緩め、「ライトサイドリング」を外す。


 と、ここで一つ。


 ミリオネアシリーズってCT SV、CV-Z系(高い方)は凛牙も含め、目につく面にビスが無い。リョウガ系(シュラプネル、ソルティガとかキャタリナ)とは違ってかなり工芸品方向にキャラが振ってあるんだよね。とゆーワケで、「ライトサイドリングスクリュー(A)、(B)」という2本のネジが、フレームのレフトサイドプレート側(レベルワインドの上側にあり、ガイドするバーとしてフレームを左から右に貫通している)とクラッチレバーの右側下辺りに隠してある。で、これを外さないことには分解できないんだわ。

 緩めるには専用のドライバーが必要になってくるんだけど、これがまた高いのよ。しょっちゅうバラすわけでもないのに、このためだけに何千円も払いたくないじゃない?だから、精密ドライバーの細いマイナスを流用し無理矢理緩めるよ。まぁ、専用工具が無くて苦労すんのは(B)の方だけなんだけどね。


 ・リングが外れると、「ライトサイドプレート」を取り付けてある三本のビスの頭が出てくる。これをプラスドライバーで緩めると、ギヤボックス(フレームにシャフトやクラッチ直付けだから「ボックス」って言い方イマイチしっくりこないけど)の中身が丸見えに。


 ・外した「ライトサイドプレート」をバラすよ。

「メカニカルブレーキ」の反対側には、二つ目の異音の原因となる「ライトサイドボールベアリング」という「ピニオンギヤ」の外側を支えるベアリングが入っているので、押さえてあるスプリングを外し、抜き取る。

「メカニカルブレーキ」が着いているので「ピニオンシャフト」と共に外す。


 さぁて!

 ギヤ関係をバラしますよ。

 ・まずは「ギヤシャフト」が貫通している「クラッチリング」という逆転防止の筒を外す。

・「クラッチスプリング」を2個外し、「ヨーク」と「ピニオンギヤ」を外す。

・「ドライブギヤ」を「ギヤシャフト」から抜き取るよ。

 上の二つの作業(ピニオンとドライブギヤ)は順不同だよん。

 ドライブギヤの中には「ドラグワッシャー」が7枚入っているけど今回はバラしません。そのまんまの状態で組むまで置いときまぁす。


 一旦左側に移り、「レベルワインド」を分解するよ。

・「レベルワインド」の下側にある「ポールホルダーナット」を緩めて外し、「ポール」を抜き取ると、「レベルワインド」がフリーになる。この時「ポールホルダーナット」の中か「ポール」のどちらかに「ポールワッシャー」とゆーちっこいパーツがへばりついているので、無くさないようにね。

・「ウォームシャフトリティナー」とゆーEリングを精密ドライバーでこねくり回して外し、「ウォームシャフトワッシャー」を外す。この時リティナーふっ飛ばして無くさないようにね。ちっこいから見つけるの大変だよ。

 ここまでバラすと「ウォームシャフト」が抜け、「ウォームシールド」と「レベルワインド」がフレームから抜け落ちる。


 再びフレームの右側に戻るよ。

・「レベルワインド」を駆動する「ドライブホルダーギヤ」というプラスチックのギヤと「ラチェット」を「ギヤシャフト」から抜き取る。

「ドライブホルダーギヤ」は「ドライブギヤ」と一緒に外れることも多々あるから、そん時は外す必要ないよね。

 これで「ギヤシャフト」には何も着いてないことになるよ。

「ギヤシャフト」を固定してある「ギヤシャフトリティナー」のビス×2をプラスドライバーで緩め、外す。

「ギヤシャフト」の根元には三つ目の異音の原因である「ギヤシャフトボールベアリング」が入っているので、これを外す。

 ベアリングの穴にはフェルト製の黒い「ギヤシャフトワッシャー」という部品が入っているので無くさないように。かなり小さいから用心だよ!


 さぁ、ここからはいちばん厄介なクラッチ関係をバラすよ。

 ・最初に「キックレバースプリング」とゆーバネを外し「キックレバースプリングピンを外す。

 ・次に「キックレバーリティナー」というEリングと「キックレバーワッシャー」を外す。注意するところは「ウォームシャフト」の時と同じ。ふっ飛ばさないでね。

 これで「キックレバー」がフレームから外れるよ。

 ここまでは、無くさないよう注意するだけでいいんだけど、これから先は細かい上に力がいるから、かなりイヤラシイ作業となる。

・「クラッチプレート」を外す…のだけど、ボディ(=フレーム)と接続してある「く」の字型のバネ「クラッチカムスプリング」が硬いんだわ。

・「クラッチプレートスクリュー」とゆービスをマイナスドライバーで緩め、「クラッチプレート」をずらしながら飛ばさないよう外す。

・「クラッチカム」がクラッチプレート側かフレーム側に残るので、これを外す。

 ・四つ目の異音の原因となる「クラッチカムボールベアリング」が出るので、これをスプール側から精密ドライバーで突いて外す。

 その下に「クラッチカムワッシャー」という細い輪っかが入っているので無くさないようにね。

・「クラッチプレート」を抜くと「クラッチレバー」が外れる。

・「クラッチレバープレート(R)、(L)」を外す。

 これ、経年劣化でかなり脆くなっていて、外す時に(R)の方のピンが折れちまったんだよね。まぁ、使用するにあたり不具合はなさそうだからいーんだけど。


 これで、レフトサイドプレート組とスプールとハンドル以外、全部バラバラになったよ。

 取り外した四つのベアリングは大きさを確かめるため釣具屋に持って行き、同じものを選んでもらう。

 四つともあればいいけどな。もし無いなら再使用しなくちゃだからね。その中に異音の原因となるベアリング無いといいけど。


 祈るような気持ちで釣具屋へ。

 で、結果はとゆーと!

 四つとも新品で揃いました!おまけにスプールベアリングまでも揃ったぜぃ!

 全部で7000円越えと、かなりビックリなお値段にはなったんだけど、これで治るんなら良しとしておこう。


 喜びまくって帰りがけ。


 味噌ラーメン食うぞ!


 と張り切ったのだけど…閉まってやがった。う~ん、残念。




 帰って飯食ったら、作業続行だ!


・まずは空っぽになったフレームをパーツクリーナーで洗浄し、古いグリスを除去。

・「クラッチカムボールベアリング」と「クラッチカムワッシャー」を組み込む。

 この時「クラッチカムボールベアリング」には専用のグリス「SLP WORKSメンテナンスグリス104」を塗布するよ。


 クラッチ関係のパーツたちもしっかり洗浄だ!

 脱脂したら組み始めますぞ。

 組んでいくパーツの可動部にスプレーグリスを塗布するよ。

・「クラッチレバープレート」をセットし、「クラッチレバー」を支えながら「クラッチプレート」を組む。これ自体は何の苦労もなく組めるんだけど、次に組む「クラッチカムスプリング」が…クッソ硬いんだわ。下手したら爪欠けたりするもんね。何度かチャレンジするけど硬くて入らない。諦めてラジペンで挟んで曲げて、「クラッチカムスプリングピン」をぶち込んで、どうにかセットすることができたよ。

 危うく元に戻せんくなるところやった。危ない危ない。


 ・次に「ギヤシャフト」を組むよ。

「ギヤシャフトボールベアリング」に104を塗布し「フレーム」に組み込んでから、穴に「ギヤシャフトワッシャー」を詰め込む。

・「ギヤシャフトリティナー」で「ギヤシャフト」を押さえつけ、ビスで固定。


・「キックレバー」を取り付ける。

 これいつも方向間違うんだよね~。「クラッチプレート」と接触する箇所に二つの突起があるんだけどその間に「キックレバー」の後部側にある突起が収まっとかないと、クラッチが切れないからね。ここでは動作確認しながら組んでいかないと!正しい位置に収めたら「キックレバーワッシャー」を入れ「キックレバーリティナー」で固定する。

 ・固定できたら「キックレバーピン」を挿入し、「キックレバースプリング」を取り付ける。最初に「キックレバー」にスプリングをかけ、次にラジペンで挟んで引っ張りピンにかけるといいかもね。

 ここでクラッチがちゃんと動くかしっかり動作確認し、固定したら可動部分にはグリスを注油。


 ギヤとレベルワインドを組んでいくよ。

 ・まずは「ギヤシャフト」に「ラチェット」と「ドライブホルダーギヤ」を組む。

 ・その次は「レベルワインド」。

「ウォームシャフトホルダーA」を組んだ「ウォームシールド」に「レベルワインド」を通し、フレームに組んで「ウォームシャフトホルダー(B)」を組み、グリスを塗布した「ウォームシャフト」を通し、「ウォームシャフトワッシャー」を通すと「ウォームシャフトリティナー」で固定。

「レベルワインド」にグリスを塗布した「ポール」を挿入し、「ウォームシャフト」の溝に噛ませる。グリスを塗布した「ポールワッシャー」を「ポールホルダーナット」の中に入れ、「レベルワインド」に装着すると、レベルワインド周りは出来上がり。


・「ギヤシャフト」に「ドライブギヤ」をセットする。この時「ドライブホルダーギヤ」の三つの突起とドライブギヤの三つの穴を合わせないとダメだからね。

・「クラッチリング」は今セットしてもいいし、「ライトサイドプレート」を固定した後でもいいよ。

・「ヨーク」に「ピニオンギヤ」をセットし、これをフレームに圧入してある二本の案内(ヨークのガイド)にセットする。

・案内に「クラッチスプリング」をセットする。

 これでクラッチ&ギヤ関係は完成。


・「ライトサイドプレート」に「ライトサイドボールベアリング」をセットしスプリングで固定。「フレーム」にセットし三本のビスで固定する。


・「ライトサイドリング」を固定する。


・「ピニオンシャフト」を挿入し、「メカニカルブレーキノブ」を取り付ける。


・「ギヤシャフト」に「ドラグワッシャー」を入れ、「ハンドルベアリングワッシャー(A)」を入れ、「ハンドルボールベアリング」を入れ「ハンドルベアリングワッシャー(B)」 を入れ、「スタードラグ」を装着し、「ハンドルワッシャー」を入れ、「ハンドル」を入れ、「ハンドルナット」で固定する。「ハンドルロックプレート」を嵌め、「ハンドルロックプレートスクリュー」で固定すると、はい!出来上がり!!


 スプールをセットし、レフトサイドプレートを取り付けると、さぁ、実釣だ!




 とゆーワケで、前の川対岸へ。

 持ってったルアーは巻き物系の一軍全部と活躍率高目のワームたち数種。

 釣り場に付いてセットしたのはピーナッツⅡのブルーバックチャート。9g程度のルアーなのでサオにもちょうどいい感じの重さ。

 ブレーキダイヤルは「4」。

 まずは軽ぅ~くサオを振ってみる。

 クラッチを切りつつバックスイングからの~、ビュッ!ヴ―――ン…ポチャ。


 うん、いー感じ。


 巻いてみると、


 !!!


 見事なまでにゴトゴト音が消えていた!


 やったね!


 嬉しい瞬間でございます。



 水際まで寄って、思い切り振ってみると糸が少し浮いた。

 ダイヤルを「5」にして投げてみると、僅かに引き摺った感出たけどいー感じでぶっ飛んでくれた。移動しながらルアーチェンジしながら撃っていくけど特に変わった様子はない。


 修理は大成功でございます。




 しかしまぁ…なんちゅーか。5万近く出して買ったリールが修理できなくて使えなくなるのはツラいよね。こっちは長く使うつもりで高い買い物しよるワケなんやき、なんぼ会社の方針とはいえ、なんとかできる体制は整っていてほしいとゆーのがユーザーの願いよね。

 じゃないと「古いのは捨てれ!」といわれているようで…。


 もう少ししたら09リョウガが今回みたいになるので同じ個所のベアリング、揃えといたほうがいいのかな?なんて思ったりしております。

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