「橋の上の駆け引き」
「行け! 走れ!
頭目が
確かに、矢の
二百五十メルトの距離を
だが、先頭に立って走れば、自分がその約二十人に入ることはほぼ確実なのだ。そして、その二十人の中に入りたいと思う者は
「…………ちィ!!」
自分の命令がまるで波及しないことに、頭目は覆面の下で顔を大きく
危険な最前列から
盗賊団の半分の百人を乗せた
「っ!」
ニコルはそんな混乱の
シュゥッ!!
空気を切り
「うわあああああああああああああ――――!?」
骨と肉が
「――全員、馬から下りろ!!」
後方近くにいた盗賊の頭目はそう叫びながら、自身は
「馬を
「あああ! ああああ!!」
死が背中にぺたりと手を着けてきているこの
そして、その効果はニコルに対しててきめんに効いた。
「――馬を盾にするのか!」
馬上にあった盗賊たちの姿が馬の
そんなニコルの手が
「――くぅっ……!」
矢
「……いや、欲張るな、ニコル。お前は相手の足を止めればいいんだ。足を止めて、時間を
興奮に心臓が
「マルダム、そしてバイトン正騎士の
この
敵も
◇ ◇ ◇
「敵はひとりだな」
橋から
「な…………なんでわかるんですか……」
伏せさせた馬の陰から、
「攻撃が散発的過ぎる。あの
距離が遠ければ矢の威力も弱いが、距離を詰めれば詰めるだけその威力の脅威も増す。馬を盾にするとしても、その効果にどこまですがれるかは疑問があった。
「我々が橋の半ばまでくるのを待っているのかもな。ここでグズグズしているわけにもいかん……ここまで来るのに派手に動きすぎた。
「ど……どうします……」
「隠れられるものがないのだとすれば…………」
双眼鏡から目を
「隠れられるものを持ってくればいい」
◇ ◇ ◇
ニコルと盗賊団、
おそらく二十分と
「――そうだろうな、そうするだろうな……僕も、その可能性を考えていた……」
思えば
「動く盾か。車輪がついているからこういう時は好都合だろうな……この矢の威力を知っているから中には何か詰めているだろうし……さて、どうしようか……」
ニコルの視野の真ん中で、人の
――土で
「あの木箱の中はきっと、土で満たされているんだろうな……」
固められた土がどれだけの防御力を発揮するかは、ニコルも話で聞いている。
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