「三百メルトの殺し間」
橋は戦略にとって
人が容易に
「止まれー!」
目の前に、
長さ三百メルト、
横に十騎、縦二十列ほどの隊形を組んで走っていた騎馬群がもたつくように橋の前に集まる。隊形を変えなければ橋を渡ることができず、その隊形を変えるには少し
「橋桁の上の一面に、障害物が置かれています!」
障害物、と聞いて一団がざわめく。
「馬で
「出口側が
黒い
そんな中、たったひとり
「向こうに
「
「防衛部隊がいるわけではないのか」
橋桁の上は家屋を解体した
この橋の通行を
「
そこそこの訓練がなされているのか、まごつきは見られるものの、広い平野から細く
つまりそれは、橋桁の
「――だから、横には
橋の付近で
ニコルは置いていた弓と矢を手にし、阻塞の上の方には頭を入れられるくらいに空けられている隙間――射手が隠れながら外に向けて矢を放つことのできる|矢
通常の弓なら射程は三百メルト、ここから対岸に届くギリギリの
空気の抵抗に阻まれた分だけ矢は直進する力を失い、目標に当たった時の
「フィルの弓がどれだけ飛ぶかはまだわからないし、
延々考えていても仕方がない。距離を詰められすぎては、いくら速度を
「……世界でいちばん
距離は二百五十メルトほどだろうか。橋をゆっくりと進む先頭の盗賊――頭を狙えば胸に当たるだろう。
その、意思を
「どうせ、いつかは死ぬんだ。――フィル、
ふたりの愛する少女の像を
◇ ◇ ◇
最初の不幸が男がこの世の最後に感じたのは、橋の出口を塞いでいる
それが何であるかを理解はできなかった。する時間を
馬の背に乗り、足元に横たわるわずらわしい障害物を跨がせながら横五列になって橋をゆっくりと進む盗賊団の一行の最前列、その真ん中の男の頭が、
粉砕されたとしか形容できなかった。
「っ――――」
「うえぁぁぁぁ――――――――!?」
「ぐあっ!!」
悲鳴を上げることもできずに頭部を
その
「な…………なんだこりゃあ!!」
たった一射で仲間が三人
「にっ…………」
「逃げろぉ!!」
先頭の数列の盗賊たちが馬首を
事実、人の
後列を
たった三人が死んだだけで、百人の盗賊と百頭の馬が足をかけている橋は恐怖の
「な…………!」
「なんて威力なんだ…………!?」
放った矢はまさしく一直線に――盗賊三人が
同時に、弓の達人であるフィルフィナが、街の中では弓矢でなく
拳銃は仕込んだ火薬の量しか威力を発揮しない。弓の達人でありながら拳銃を愛用するフィルフィナの判断には合理性があったのだ。
「こ、こんなに
少年の心にあった悲観的な感情は、一本の矢が
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