「帰還、そしてまた戦い」
「
予想はしていたという顔でゴーダム公はニコルにため息を聞かせてしまった。
「集団は常に移動していて決まった
レマレダールの街の中心にある政庁本館の一室、
「しかし、これだけでも一歩前進だ。今までの
「閣下、それで……盗賊団に騎士団の作戦を知らせていた人物がわかったのですよね?」
「特定はできた。あとは本人の口から白状させて
「それで…………閣下…………」
ニコルは自分が言おうとしている言葉を頭に
自分が聞こうとしているのは、騎士団内部の人間の名前だ。
自分が生活の場にしている騎士団に裏切り者がいて、もしかしたら知人かも知れない――いや、その可能性が存在することは今まででも
ニコルが問いかける口も
これ以上
だから、戦いが終わってもほとんど休む間もなく、朝を
「わかっている。お前も知りたいのだな。その人物の名前を」
「ニコル、お前にはすまないがもう一働きしてもらわねばならん。だから、お前にはその名前を告げよう。――しかし、わかっているな?」
「は……はい…………」
こめかみがひくつくのを
政庁本館から出る最後の扉をゴーダム公が開ける。
二頭は二人が現れたことを知ると、鼻先を
馬たちの小さないななきを耳にしながら、ニコルは、舌には重い言葉を口にしていた。
「周囲には、決して
「よく言ってくれた。お前の口の
愛馬のガルドーラに
「――バイトンだ」
「――――」
ニコルの心臓に、見えない
◇ ◇ ◇
日が昇り、人々が
そしてその公爵のやや後方について従うもう一騎の姿が、人々の
「ニコル!?」
様々な事情で街の人々に名前と顔が知られ出しているニコルの存在を認めて、事情に
騎士団追放という重い処分を下した公爵本人が側にいるのだから、ニコルは
「ニコル、わかっているな」
ゴッデムガルドを大通りに沿って西から東に
「
「
「処分が解かれたから、直属の上司にその
「はい」
「気を強く持て。いつものように
「――はい」
いつものように。
レマレダールからゴッデムガルドまで引き返すこの数時間、一度短い
「レプラー、もう少しで休ませてあげられる。あとちょっと、がんばって」
馬上で絶えない
「戦いだな……」
ゴッデムガルドの市街地を
そこでいつもの業務についているバイトン正騎士とどう対面するのか。
ゴーダム公の言葉を受けながらも胸に
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