「西の空の向こう」
冷たく
実際、
一週間弱に
その
ゴーダム公から直々に追放を
自分でも
この事態の展開が
自分でも今までにこんな長く眠ったことはないという時間を、ニコルは眠って過ごした。
いくつか
「う…………」
そんなニコルを
がしゃん、と金属が落ちる音が
ニコルがのっそりと体を起こせる時間をかけて扉は開け放たれ、その向こうに全身を真っ黒い
手に
「――来い」
低く
そのニコルの動作を見届けてから、黒い外套の男は
自分の
螺旋階段を上りきり、建屋から出ると、外は真っ暗だった。
やや
黒い外套の男がゆっくりと邸宅の庭を歩いていくのにニコルも続く。館の裏口に
ゴーダム公爵
二分ほど歩いた道の先に、一台の馬車が
少し大きな馬車だ。
つながれている馬の一頭がニコルの方をチラチラと見て小さくいななく。その声を聞きながら黒い外套の男は
ニコルが席に座った
前を照らす
ニコルの背中で、荷車に積まれた荷物がガシャガシャと鳴っている。金属の重量物だろうか、とニコルはその音の調子でぼんやりと思った。
夜を走る馬車はゴッデムガルドの街を
ニコルからやや離れた御者台で二頭の馬を
ニコルもまた
その違和感が自分のぼんやりした予想に段々と合わさってくるのを感じて、ニコルはいつしか全身の力を抜いて、暗がりの向こうに照射される光の中に
「――あ」
足元の編み上げのカゴがあるのをニコルは見つける。体を
きゅるるる、とニコルのお
「あの……」
「これを
「…………気づいていたのか?」
御者台の男がフードを外しながら後ろを振り
前照灯から漏れる
「いつ、気がついた?」
「閣下が牢の扉を開けられた時です」
「最初からか?」
ゴーダム公が心底情けなさそうな顔を見せる。ニコルが気の毒になるほどだった。
「閣下は自分の体格を小さく見せようと、不自然に体を丸めておられましたし……声も無理に変えられてました。それに、この馬車につながれた馬は閣下の
馬車を
「遠目にはわかりませんでしたが、前照灯の光でようやくわかりました。これだけ材料が
「…………それなら早く
「そうですね…………」
ニコルは窓から身を乗り出し、背後の東の空を見やった。地平線の向こうが
「僕を追放するというのは、
「お前がダクローに
「お前の
「はい」
「そして、お前もゴッデムガルドから追放され、
「……本当は、そうではないと」
「当たり前だ。これくらいのことでいちいち団員を追放していたら、騎士団から人間がいなくなる。別の人間に私もそう言われて山ほど非難された。まったく疲れた」
「よかった……」
ニコルの口元から、心底の
「多分こういうことではないのかもと思っていましたが、やはりそうでしたか……本当によかった…………」
「安心してくれるのはまだ早いぞ。どうして私がこんな
「――
またもゴーダム公の口元が
「後ろに積んでいるのは
「お前にはかなわんな。まあ、それが必要な事態ということだ。……もう少し明るくなったら馬車を駐めて食事にしよう。私も腹が減ったからな。その時に、
「はい」
騎士団追放の話が消えた安堵はあったが、同時に戦いが待っていることを知らされてニコルの心が
向かう西の先どんな戦いがあるというのか、ニコルはその方角をまっすぐに
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