「闇夜の帰り道」
暑い湯で骨の
木々を
その小川も幅が広くはない。
「鋼鉄の
頭の中まで
そんな
「
今までの
飛び道具を
気配の
「
「――サフィーナお
投げ捨てたランプの弱い光の中で
「何をなさっているのです!? こんな危ない時分に!」
ランプを拾いながらニコルは
「ええ、日課の、毎晩の散歩を。ですがランプの
「日課……そんなことはおやめください! こんな所でお嬢様の身に万が一のことでもあれば、いくら
「まあ、ニコルは私のことを心配してくれるのですか?」
「もちろん! 今の自分は騎士見習いといえどゴーダム騎士団の一員、ゴーダム家の方々を
ニコルは自分の
「こんな夜の散歩はお
「ではニコル、私があなたにそれを望めばあなたは付き合ってくださいますか?」
「サ、サフィーナ様のお申し出とあれば……」
「ふふ、今、困った顔をしましたね。私もニコルにそんな顔をしてほしくありませんわ。
「そ、そう言っていだければ幸いで……さあ、お
「はい」
ニコルの
「――サフィーナ様?
「暗い森の中は
「別にこんな暗い森の中に足を運ばれなくてもよろしかったのに……」
「気が向いたのです――きゃっ!」
がさがさがさ! と林の
「だ、誰だ!?」
闇の中に投げた声に返答はない。左手に持ったランプをニコルは
「人じゃないのか……小動物か何かかな……」
「この辺りは小さな
「ダリャンもそんなことを言っていました。そうならいいのですが……人を
「私もとても心細くなってきました。この格好のまま館まで戻っていいでしょうか?」
これでは本当に万が一のことがあっても、剣を
「は、はい、サフィーナ様のお好きに。ですから早足でここから離れましょう」
「わかりました。
「……サフィーナ様、どこか楽しそうではないですか?」
「怖くて怖くて、とても胸がドキドキしています。確かめてみますか?」
「け、結構です」
これ以上会話を重ねても
◇ ◇ ◇
闇の向こうで声が
「あー、もう、サフィーナお嬢様ったら
それぞれのランプに照らされた少女たちの顔が浮かび上がる。少し前までサフィーナの元に
「仕方ないわよ。サフィーナ様の段取りがなかったら今夜のお楽しみはなかったんだし」
「そうそう。あたしたちはおまけ。でもお
ひとりの少女が言いながら手で
「ああ、でもニコル君のおしり、
「
「肝心なところってどこよ! そこは本質じゃないの! そんなこと言ってると次に
「大きな声を出さない。今夜のことは口外無用。ここにいる顔以外には聞かせちゃダメ」
「はーい」
「じゃ、帰りましょうか」
「こんな夜分まで出歩いて、あたしたち不良……」
「お嬢様の
「はぁーい」
◇ ◇ ◇
「……サフィーナ様、もうそろそろいいのではないのですか?」
「なにがです?」
「ですから、腕にしがみつかれるのは……もう灯りも見えてきましたし、人もいます」
「手がこれでしびれてしまったのです。放すと痛いです。痛くても放すべきですか?」
「……いえ、そのままで結構です……」
ゴーダム公爵
そんな視線を針のむしろのように感じながらニコルはこれが護衛であることを手持ちランプを持つ姿勢で示そうとしたが、かなり無駄な努力だった。
「この辺でもうそろそろよろしいのではないでしょうか? サフィーナ様、僕は失礼して、駐屯地の方に……」
「あら。せっかくここまで
「は、は、はぁ」
いつの間にかサフィーナがニコルを
「さあさあさあ、こちらに」
「あわわわわ」
ほとんど
「おや、サフィーナにニコル。こんな時間に二人そろってとは
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