「一応の、決着」
「こ……このガキ……び……
常にその顔に
自分たちの手回しのために空腹と
「ダクロー、こ、こいつは、
「おいおい、
「ここまで
「そうかよ。まあ、勝手にしな。おう、ニコル。このカルレッツ
そのダクローの言葉に、ニコルたちに届かない程度の大きさで
「く…………」
骨まで
落ちた兜は勢いよくカルレッツの足元まで転がり、カルレッツはそれを爪先で
「フン。兜もロクに被れないような体で、よくも強がったものですね」
「――カルレッツ」
ニコルとカルレッツが戦う空間を
「訓練用の防具、着けとけ」
「は? こんな、
カルレッツは
ニコルの体は、全身が
「く……訓練では、事故はつきものですからね……頭をかち割られて死ぬのも、事故でしょう……!」
「――
興奮で頭に血が上りきっているカルレッツに、ダクローの
「……死ね!」
全身がひとつの長い棒になるかのように
風を巻いて
「っ!?」
この朝、カルレッツが最後に見たのは、自分に向けてひとつの
「げほォッ!?」
少年の全体重と
カルレッツの体が直角に折れ、その形のまま後方に吹き飛んだ。
正確に十五歩の
「ぐ、が、あ…………」
意識を失っているはずなのに反応する体が
「うわ! こいつ、
「おい! この
「表に
「だから言っただろ。本当に馬鹿な
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…………」
「勢いに任せて突き
「な…………なんの、話ですか…………」
「俺の目は
ニコルの片眼が細められた。
「兜を落として頭をさらけ出すことでカルレッツの大上段を
「…………あなた、仲間があんな風になっているのに、心配とかしないんですか……?」
「は? 仲間だ? おいおい、人を
心底からの『心外だ』という顔を見せてダクローは毒づいた。
「俺はあいつに金で
「…………」
「クソまで漏らしやがって。横にいる俺まで恥ずかしい思いをする羽目になったじゃねぇか。――ま、いいや、それは。じゃあニコル、今度は俺が相手だぞ」
「く…………」
ダクローが木剣を一振りすると、空気を切り
「お、表情が変わったな。
「あなた、レプラスィスに
「あ? ま、そんなことはどうでもいいだろ。さ、六年も騎士見習いでくすぶってる先輩が稽古をつけてやろうっていうんだ。そんなへたばったままじゃ失礼だろうが。立てよ」
「…………」
ニコルは、体重を支えきれない関節に無理をさせながらよろよろと立ち上がった。
「さっきの一撃が本当に
「……誘いかも知れませんよ……」
「だったらじっくりやらせてもらうさ。さあ、かかってこいよ。長期戦は不利なんだろ。数年、訓練もロクにしてない不良騎士見習いが相手だ。簡単にやれんだろ。
「…………」
ニコルもまた、青眼の構えに剣を
周りを囲む騎士見習いたちが、
相手を
「――ふん。冷静だな。こっちの実力を見定めてくれたっていうのは
「かかってくれば、いいじゃないですか……
「はっ」
ダクローは鼻で笑い、木剣を床に軽く投げ捨てた。
「やめた、やめた」
「――――え」
剣を握っているニコルの腕が、下がった。
「どうしてですか」
「お前をぶちのめすなんて簡単だ。赤子の手を
ニコルの
「俺が突きかかってきたら、ぶちのめされるまでには右腕をへし折ってやる――そんな気持ちが目に現れてるんだよ。お前をぶちのめすために右腕をへし折られでもしたら、大赤字だ。右腕をダメにされかけるのはもう
「……
「ここは
去りゆくその背中を目で追い、
「――おい! お前たち、なにをしている!」
遠くにこの朝では初めて
そう思った時には、限界を
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