その六「涙の向こうの真相」
フィルフィナはこれまで、
そして半年ほどにもなる、この王都に流れ着く事件となった里への大規模
物量に物を言わせて
だから
そんな
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――!!」
どこからそんな声が出せるのか、どうしたらそれだけの
「うわぁぁぁ、あああ、あああああぁぁぁぁ!!」
「お……お
心臓が胸の中で転がっているのではないかという激しい
目を
「あ……あ、ああ……」
その傷がみな、カラスの
それでも、表情を形作っている顔の筋肉の配置だけは
左の
「
事情を
「びっくりして窓を開けたら、ねこさんが……ねこさんがぁぁ!!」
「あ、あああ、ああ……」
四羽のカラスに
わずか、二分にも足りない出来事のはずだった。
「ねこさん、ねこさん、ごめんなさい!!
「お……お
フィルフィナを
その
「と……とにかく、その
「フィ……フィ、フィルぅぅ……!!」
リルルが
「
「う、ううう、ううううう…………!!」
「この
メイド服やエプロンが血で
覚悟していたよりも軽い、猫の重み。だが、その軽さが心には重かった。こんなに軽いのか、とフィルフィナの
「ああ……」
フィルフィナは、気がついた。自分が今まで、この猫を腕に
これが、最初で最後のただ一度だけの
「わあああ……あああ、あああ、ああ、あ…………!!」
「――――お嬢様……」
それと
『……あ……?』
そんな中で、わずかに残っていたフィルフィナの冷静な理性が、腕の中にある
『……
◇ ◇ ◇
「ごめんね、ねこさん……」
「ねこさんに、こんなものしか用意できなくて……」
リルルがまだ物心つく前に使っていたおもちゃ、それを集めて保管していた
赤く
フィルフィナもいつものメイド服だったが、血に
「ねこさん、ごめんなさい……本当にごめんなさい……」
庭に
そしてリルルはポケットに手を入れ、
「
シーツの中でまっすぐに
「ねこさん……」
背中から受けるリルルの視線と声、心を
「……お
「うん……」
フィルフィナが
リルルが箱の
フィルフィナは箱に口づけこそしなかったが、
それが
「――では、収めます」
「お
「…………」
一礼をしてフィルフィナはシャベルを受け取り、盛り上げられた土を
ものの数秒で箱は見えなくなり、三分もしないうちに穴は
シャベルの皿で地面を固く平らに整地し、その上にこれも用意していた
そんな作業が、小一時間は続いた。
その間、フィルフィナから数歩
やがてフィルフィナが身を起こし、立ち上がった。
十段ほど
リルルもフィルフィナも、その積まれた
「――――」
最後に、かごに残った花でリルルが墓標の周囲を
「…………」
冷たく
何かをすることで
「ねこさん……」
何もかもが冷え切ったこの世界、
「ごめんなさい……ねこさん、ごめんなさい……」
生まれた時から
ここからは手の届かない所に行ってしまった、愛するもの。その
「
「――お
丸まるようにうずくまり、
「……今からお話しすることがどれだけお
心と体の
だからフィルフィナは、返事を待たずに語り出した。
「あの
リルルは
「あの
フィルフィナは目を閉じた。自分が組み立てようとする論理の構造を見直し、
「あの
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