その二「庭の王とエルフのメイド」
そんな
「お、お、お
「
「は?」
フィルフィナの顔がこの
「
「
「ずっと前から?」
ああ、それで毎日のように見るのかとフィルフィナは
「い、家の中で飼ってなければ、
「この子は
「は、は、はぁ?」
六年も前、いや、それ以前に――道理で
「だからこの子はフィルの
「にゃあ」
「わ、わたしが、この
フィルフィナの目元と口元が
心が、軽い。里にいた時の
「確かに、ずっと前から住んでいるこの
フィルフィナは
「――ご
非の打ち所のないカーテシーで礼をする。そんなフィルフィナにリルルの
「あ、ねこさん、待って」
「あのねこさん、朝には
「……その日分の
フィルフィナは
「お
「ちゃんと後で顔と手は洗ってるもん。お
「できたら服も
「それに、お庭に
昔に
取りあえず色がつく花が
「その庭を管理するのも、わたしの仕事なのでしょう? なら……」
「ねこさんは、お庭のそこら辺でお便所しないよ」
フィルフィナの口が動くが、言葉は出なかった。
「
「……そういえば……」
昔から住み着いているという話なのに、
「ということで、これはねこさんの勝ち」
「ですが……」
「それに、ねこさんは外から来るネズミを退治してくれてるよ。ネズミの一
「ああ……」
この規模の
「ねこさんはフィルと同じくらい
「…………ありません」
「じゃあフィル、ねこさんと仲良くしてね」
にぱ、と勝利の
「これでは、わたしが勝てるわけはありませんね……」
そもそも、あの
リルルの喜びは、自分の喜びなのだから。
「……新入りは新入りらしく、
自分に言い聞かせ、フィルフィナは庭を
◇ ◇ ◇
朝のちょっとした
裏庭の
エルフの里ではこんなことなどしたこともないし、やらせてもらえるはずもなかった。ちょっとした手ぬぐい一枚といえど、下働きの者に投げていればそれですんだのだ。
フィルフィナが頭を下げる相手は、母である女王ただ
それでも、今の
他人の服や下着、シーツを
「ふぅ」
最後の大物であるシーツを
反射的に手がポケット――あらかじめ適当な大きさの小石がいくつか入れられている――に
音がした低い場所、音の
――ネズミ!
「!」
右手の人差し指に小石を
飛び出したネズミを後から風の速さで追う、一回り大きい
「にゃっ!」
地を
一直線に走る白いネズミとの
フィルフィナが
「――――」
ぼてっとネズミが地面で
「お見事」
「にゃ」
フィルフィナに
気絶したネズミを
「先だっては大変失礼いたしました。
「そもそも、わたしはあなたのことを
たかだか一週間前の話だった。
人間たちに
あの時、リルルに見つけられ、拾われなければ、本当のゴミになっていたところだろう。
「……拾われたわたしなどに比べ、あなたは自分の意志でここに住んでいる。そもそもから立場が
「にゃあ」
鳴き声が
「……ありがとうございます。そのお
「にゃー……」
「なに、冷たい水ではありません。気持ちいいぬるめの湯を用意させていただきますよ」
「にゃっ」
「……わたしは
「にゃあ」
「それでは、すぐ用意しますね。お待ちください」
フィルフィナはたらいの水を浅く張り直し、給湯室に向かった。
◇ ◇ ◇
「にゃー……」
「……意外に
「あなた、本当にお
リルルが生まれる前から、この
「……わたしは、あなたが
「にゃっ!」
「ああ、これは失礼しました」
「あなた、
「にゃ」
もう片方のたらいに移った
タオルで水気を
「いかがですか、気持ちよかったですか」
「にゃあ」
その
「そうされているとどこか、王者の気品さえ感じさせるものですね……」
お世辞でもなんでもない。『王』を
それほどの時間を必要とせず短い毛は
「行かれるのですか」
おしりを向け、ひょいと
「あなたもお
ネズミをくわえたまま
「……久々にいい交流をさせてもらいました。外の世界というものは、
青く
住むのは
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