「メージェ島の日常と、非日常」
――時を、少しだけ
季節は二月の末、冬の
若き騎士王、ニコル・ヴィン・アーダディスが治めるアーダディス騎士王国の領土である島は、順調に発展していた。
最初は二百人で始まった移民が、現在の人口は千人を少し超えている。それに合わせて中型船を追加で
王都で
今日も新しい移民を乗せて王都から戻ってきた、白く美しい船体が真新しい
そんな様を、少し離れた
「また
視線を転じれば、
子供らしい愛らしさが
器に
またも視線を
島の中でも
「島民が増えるのはいいのだがのー、増えた独身男の相手をする
恋人には不足しているが、若い精気は持て
「
いそいそと小さな庵に戻り、
「妾を喜ばそうという
大ぶりの
「ああ、この商売も楽ではないのー。妾も、そろそろ引退時かも知れんのー。代わりの者がいたらいつでも引退していいんだがのー。おらんからのー、妾ががんばるしかないのかのー、つらいのー、つらいのー」
「なにをひとりでぶつくさいってんのさ」
「ぶふっ!」
死角からいきなりかけられた声に、アヤカシは口の茶を
「おひさしー、
反動で飲み込んだ茶が気管に入ったのを必死に
丸顔に大きな
「お、おおお、お
「なんでってー、移民でこっちに来たに決まってんじゃん。今さっき着いた船」
ぴ、とアカサナと指を外に向けた。
「い、いいい、移民!? お主が!? この島に!?」
「そ。うちの店がティーグレ組に
「な――なんじゃと!?」
アヤカシの顔が青一色に
「いいねえ、姐さん。こんないい庵建ててもらって。立派な
にんまりとアカサナは愛らしく笑った――が、黒く大きな
「決ーめた。あたし、この隣に庵建ててもらお」
「この隣とな!?」
アヤカシの顔を染めた恐怖の青が、絶望の青に変わった。
「いいじゃん、どうせ姐さんいっぱい客取らされてクタクタだったんでしょ。というか無理に取っちゃって。嫌だ嫌だとかいいながら、求められてないと
「あが、あがあが、あがが……」
「これからは楽させてあげるねぇ、姐さん。ゆっくり風呂に
姉貴分の
「というわけであたし、領主様に
「ちょ、ちょっと待つがよい!?」
ぴょい、と外に飛び出したアカサナを追ってアヤカシが転ぶように後を追い――庵を出て初めて、遠くから風に乗って聞こえてくる
男たちの重なり合う
「なんじゃ? えらく
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