第6話 担任は無責任。
「今日は寺田さんが体調崩しちゃってお休みです。今日は三九人だね。みんなも体調崩さないようにね。僕は毎日ヨーグルト食べてるから元気です! ……じゃあ、今日も頑張ろう~」
相変わらず担任の先生はぬるっとしている。ほろよい状態で学校に来ているのではないかと僕はいつも思うのだが、毎日この状態だから、そうではないのだなと僕はいつも考えを改める。
いつも見ている後方の席を今日も見る。やっぱりあの子はいない。今日の授業、面倒だなーと思う。
なんだか気分が乗らない。いつもよりも今日は、特別に。
六時間目の数Ⅱの授業を終え、筆記具やノートをリュックに詰め込み、それを背負う。登校したときの重さより一〇〇グラム増えている気がする。弁当も食べた。ペットボトルの水ももうない。なのに、重い。
「本多くん本多くん。ちょっとこれを渡してほしいんだけど。」
黒板前にある教卓の前を通り過ぎようとしたとき、声をかけられた。担任から差し出されたのは、今日の授業のプリント全部、およそ二十枚くらいだった。
「えっと、誰に渡せば?」
「寺田さんに」
「いや、僕、寺田さんの家知らないんですけど」
「あ、地図これ。本多くんの家に割と近いから」
「でも、ちょっとこの後用事が、」
「同じクラスだし、転校生だから仲良くしてね。よろしく伝えておいて」
「あ、ちょっ……」
担任はそのままクラスを出て行ってしまった。
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