第12話 マッサージ・後編

「ついでに乳がん検診もするわね。視診と触診ね。」


副院長は胸だけタオルを外し、まずは右の乳房へと触れる。

乳房の外側から内側へと胸を揉む。


「はっ、んんーーんんんーーー」


私は一生懸命声を抑える。副院長に聞こえてしまうから。


次は左。副院長が移動する。

同じように左側の乳房も外側から内側に円を描くように揉んでいく。私の呼吸がだんだん荒くなっていく。

ふと副院長の顔を見ると、私の反応を見ている。こう触ったら気持ちいいとか、ああ触ってみたらどうだろうとか…。ただ、大事な部分は触ってくれない。

胸だけでも昇天しそうなのに、そこで寸止め。

上半身は最初のように大事な部分は隠し、タオルで覆う。

副院長は胸から手へ足を滑らせる。また寸止めだろうと私は考える。

大腿から足の裏まで揉むと、そこから手が大腿部に戻り…。あまりにも気持ちがいいので期待してしまった。


「もう終わりよ。お疲れ様でした。」


副院長は私の顔を見て微笑んでいる。


「これ以上やってしまうと職権濫用で強制わいせつ剤だからね。」


パッと手を挙げた。


そういうことか…。

でも、一線を越えて欲しかったな。待てをされている犬みたいだ。


塚本先生も一線は越えなかった。キスを懇願してやっとしてくれたが、それ以外何も。ハグくらいだ。


私ももう27歳だ。若くない。

手を出してはいけない年齢でもない。

何故…。


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