第3話 小川係長は味方?それとも敵?
今日の私は仕事が夜勤のため、塚本先生の送り迎えがないだろう。
一通り病棟をラウンドしてひと段落したときに、同じ看護師の小川係長が差し入れにシュークリームを持ってきてくれた。
「これを皆さんで食べてください。」
夜勤は私を含め三人。ありがたくいただく。
「山崎さん、仕事中に悪いのだけれども、仕事のことで別室で話がしたいんだ。手短に終わらせるから。」
私は頷いた。
「先生に何かされてない?」
私の顔が強張る。
「何かって?もう私は27ですよ。子供じゃないですし。」
「僕が見聞きした感じだと、山崎さんも塚本先生もお互いに依存しているよ。山崎さんは自覚がないみたいだけれども、塚本先生はわかっていてそれを利用していると
思う。」
塚本先生に限ってまさか…。
「仰る事がよくわかりません。もう仕事に戻らないと。」
部屋を出てカギをかけると、小川係長は私の手を取った。そしてしばらくの間、沈黙した。
「今日は仕事中に悪かったね。山崎さんと塚本先生はいつも一緒だから、話をする機会がないんだ。」
小川係長はポンポンと私の頭を軽く叩く。そして、1枚の紙切れを渡す。
「何かあったら、このSNSに連絡をして欲しい。」
「ありがとうございます。ではまた…。」
私はナースステーションに入り、夕食を取りながら当直の先生の到着を待つ。
「あら、美味しそうなシュークリームね。」
その声に、サッと血の気が引いた。
「一筆書いてあるわね。小川係長からなの差し入れなんだ。」
声の主は塚本先生だった。
先生は特別な事がない限り当直はしない。
「私もシュークリームをいただこうかな。」
どうぞ先生、と夜勤の二人が言った。そして、一人が仮眠に入った。
先生が私の耳元でささやいた。
「小川係長に何かされなかった?」
私は首を横に振った。
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