日常
年が、明けたらしい。『らしい』と言うのも、年が明けたなんてそんなもの、全部人間の尺度に過ぎない。凡ゆる人為的なコピーペーストに塗れた世界で何を以て年明けと言うのだろう。そんな事を言い出したらそもそも、時間なんて概念から全て人為的であるのだとふと自らに諭され、ぐうの音も出なくなる。
『あけましておめでとう』『今年もいっぱい出かけようね』
——ああ、どうでも良いな。こんな感情。溢れた温かい涙が耳を濡らしたのをぐしゅぐしゅと拭う。海都希の笑顔を思い出しながら綿縷はふっと笑って、反動をつけて体を起こしゆっくり返信を考えるように色んな言葉を打っては消した。世間が何を言おうが、自分はミツがミツで居てくれればそれで良いし、自分が自分で在ればそれで良い。自らが作るものはゴミであっても、これ以上に美しい塵などないのだから。
『おめでとう』『今度二人で海に行こうか』
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