第82話 絶世の美女???③
店長代理は、その日のうちにクレイジーちゃんをクビにした。
翌日、日中から店のHP(※某風俗店情報サイト内)が荒れた。
怪しいアカウント名のどこぞの者が、店のレビュー欄に店や嬢や従業員の罵詈雑言を書きこんだのだ。
歪曲と被害妄想に満ちていたが“内情”を知っている。
整合性のない文面から“関係者”だと墓穴を掘っていた。
『私は誰もが羨む絶世の美女だ。だから皆、私に嫉妬する。嫌がらせする。私はオナホじゃない!私はモテる。セックスする相手はちゃんと自分で選んで決めている。私には弁護士の知りあいがいる。不当解雇を訴えることもできる。この店の統括と○○(嬢の源氏名)はできている。黒服(男性従業員。黒いスーツを着用している)は客の目を盗んでキャストとやりまくっている』
って、なんだよ(笑)。
オナホって言われたの、よほど、ショックだったのね(笑)。
私は名指し(源氏名)で“お局”と叩かれ、ひと悶着あった嬢は本末転倒にも○リマン呼ばわりされた。
その、いくページにもわたる粘着質なレビュー?を、私は“証拠”としてスクショした。
すぐさま、それを店長代理にLINEで送信する。
『削除依頼、出していい?』
『いいよ』
『解雇されたキャストの逆恨みです。被害妄想です。固有名詞を使用されました。風評被害が出る前に直ちに削除してください』
削除依頼は、すぐに通った。
出勤して○リマン呼ばわりされた嬢にスクショを見せた。
「ふん!馬面が!告訴します!?」
馬面が絶世の美女なら、クレイジーちゃんは絶世の美女に違いなかった(笑)。
ほとぼりも冷めた給料日。
クレイジーちゃんは嬢の出勤前に店に現れた。
あれほど乱心あって給料(※ホステスは従業員ではないので正確には“報酬”)を出してもらえるなんて!
仏のような店じゃねーか!
常識的に考えて請負業務不履行、威力・偽計業務妨害だかんな!
「下に知りあいの警官を待たせてる。この店に何をされるかわからなくて怖いから」
クレイジーちゃんは店長代理に放言した。
何をされるかわからなくて怖い???
どの口が!?
それはこっちの台詞だってーの!
すでに実害出てるっつーの!
「一人です。警官いません(笑)。とぼとぼ帰ってます」
路上の客引きから店長代理に無線が入った。
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