第5話 反り腰注意!

 先日、座っている時間に応じた運動量をこなさないと短命に終わる危険性が高いと、どこかの研究機関(どこだよ?)のリポートを読んだ。

 体育会系の私はセーフだが、運動嫌いのキャバ嬢たちは戦々恐々だろう。

 座っている時間が長ければ、腰痛の危険性も高まる。

 腰痛はキャバ嬢の職業病だ。

 指名席にでもつこうものなら、休憩時間もなく(※ご都合主義に個人事業主扱いされるホステスに労働基準法は適用されず、繁忙期にはトイレ休憩以外8時間ノンストップ!なんてこともざら)長時間座りつづけることになるので、どんなに正しい姿勢を心がけていても腰痛は向こうからやってくる。

 日々の筋トレやストレッチで相殺していくほかない。

 だが、それも、ぽっちゃりさんとなると事情が違ってくる。

 問題は腹、だ。


 スナックに飲みにいくとホステスがゆったりした衣装を着ているのをよく見るが、キャバクラでは、ぽっちゃりさんでもタイトなドレスを着るのが基本だ。

 需要があるので、ドレスショップのサイズ展開は実に豊富だ。

 南瓜のようなドレスを着ている嬢はさておき、キャバ嬢の商品価値を考慮すれば、おのずとタイトなドレスを選ぶものだ。

 待機席では気を抜いて座っているぽっちゃりさんも、フロアでは下乳のつけ根から張りだした腹が少しでも凹んで見えるように、顎と胸を突きだして反り腰を作る。

 その結果、脊柱の正常なS字カーブが崩れて腰痛や肩こりや手足の痺れを招き、ひいては頭痛や冷えや不眠などの自律神経の乱れにも悩まされるのだ。

 そのうえ、反り腰は骨盤を前傾させ、腹部や臀部や大腿前部を肥大させてしまので、元も子もない。

 反り腰をやめれば体型や体質は全面的に改善するのだが、ぽっちゃりさんは、なぜか?反り腰をやめない。

 反り腰だから、ぽっちゃりするのか?

 ぽっちゃりだから反り腰を作るのか?

 意識か無意識か?

 たとえ一時でも、いくつになっても、綺麗に見せたいという乙女心はつきないのだう。




 

 

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