はじめてのふゆ


『とにかく、きょうはにっきをよんでください。



 そうしたらかりんさんのいつものせいかつがわかってきますよ。』





そうだ、日記だ。

最初から言われていたのになんで見なかったんだろう。


きっとその中に元の私のヒントが隠れているはずだ。




冬真さんには悪いけど背中を見せ、

少し急足でベッドに戻り下を向けて置いてあったスマホを手に取る。





ロックを開けて画面を不安そうに覗き込む私に気を遣ったのか、



喋りかけても返してくれない私に嫌気がさしたのか。



冬真さんは彼の身長の2、3倍はあるであろう扉の近くへと行った。




『じゃあ、ぼくはおこしにきただけなのでかえりますね。


 すぐにあうかもしれませんけど、またこんど』



ヒラヒラと手を振って扉に吸い込まれていった冬真さん。







少し_本当に少しだけ_魔法使いのような人だと思った。

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